
メモリはプログラムの処理速度に関わるパーツであるため、パソコンの作業効率を左右します。マザーボード、CPUとの組み合わせによっては、メモリが作動しなかったり、本来の性能が出せなかったりするため、スペックの意味を理解して購入しましょう。
メモリを選ぶ際に見るべきポイントは大きく3つです。
- 容量(優先度:高)
- 速度(優先度:中)
- 遅延(優先度:低)
3DCG制作者向けのパソコン、メモリ以外のパソコンパーツについては、以下の記事をご覧ください。
メモリ:データの一時保存を行う=プログラムの処理速度(動作の軽さ)に関わるパーツ

パソコンを自作する際、最も簡単に作業できるのがメモリです。メモリのことをRAMとも呼びます。
CPUは頭脳、メモリは机(作業スペース)で例えられることが多いです。CPUがメモリで仕事をしていると考えてください。
- 頭の回転の速いCPUが、広い机のメモリで仕事をすると、データの処理速度は上がります。
- 頭の回転の遅いCPUが、狭い机のメモリで仕事をすると、データの処理速度は下がります。
CPUの仕事が一区切りすると、HDDやSSDといったストレージにデータを保存します(名前を付けて保存、上書き保存)。
メモリはストレージにデータを保存する前の、一時保存の役割を担います(1つ前の作業に戻る、1つ前の作業に戻ったのを取り消す)。
メモリを選ぶ際の注意点は、マザーボード、CPUに対応したメモリでなければ、性能が発揮されない、もしくは動作しない点です。
メモリ=メインメモリ(主記憶装置)=「RAM」
メモリという場合、通常メインメモリ(主記憶装置)を意味します。また、メモリのことをRAM(ラム)と呼ぶこともあります。
RAM(ラム)という場合、一般的にDRAM(ディーラム)のことを指します。RAM(ラム)とROM(ロム)とは別物なのでは混同しないようにしましょう。
RAM:メモリのこと
DRAM:メインメモリ(主記憶装置)として利用される
SRAM:キャッシュメモリ(CPU内部に存在する)として利用される
ROM:読み出し専用の保存領域(マザーボードのBIOSなど)
RAM(メインメモリ)はCPUがデータを処理するときの作業領域となり、データを一時保存する
・RAM(Random Access Memory)
=メインメモリ(主記憶装置):作業領域、データを一時保存
RAMは、CPUとストレージとの間でやりとりするデータやプログラムを一時的に保存する記憶装置です。
パソコンの電源が切れると、メモリ内に保存された一時データも消えます(揮発性)。
パソコンの電源が切れても消えてほしくないデータは、メモリからHDDやSSDなどのストレージに送って保存します(不揮発性)。
3DCG制作時は、1つ前、2つ前、3つ前……の作業に何度も戻ってやり直します。前の作業に戻れる理由は、RAMにデータを一時保存しているからです。仮に100個前の作業に戻るように設定する場合は、それだけRAMの容量を必要とします。
RAMによる一時保存が役立っている例は、以下の通りです。
- インターネット検索した際のWebブラウジングの軌跡(ブックマークはストレージ保存)
- テキストエディタに文書を入力・削除(作成した文書はストレージに保存)
- Cinema 4Dなど3DCGソフトでの作業(制作したデータはストレージに保存)
RAMは、CPUが処理するときの作業領域とも言えます。よく机(作業スペース)で例えられます。
RAMの容量が大きいほど、机(作業スペース)は広くなりより多くのデータを一時保存できる(作業スペースを空けるため都度片付ける必要がない)ため、アプリケーションの動作が軽くなります。
RAMを机(作業スペース=メモリ容量)で例えると
机(作業スペース)が広い:作業効率が高く、快適に作業できる
机の上に多くのものを置ける
(RAMの容量が大きい=多くのソフトを起動できる、多くのことを処理できる)。
机(作業スペース)が狭い:作業効率が低く、快適に作業できない
机の上に多くのものを置けない
(RAMの容量が小さい=多くのソフトを起動できない、多くのことを処理できない)。
RAMの情報は頻繁に書き換えられるため、高速でアクセスできるようになっています。メモリ(メインメモリ)とストレージとで別々のハードウェアがパソコンに用いられる理由は、メモリ(メインメモリ)はストレージに比べてデータの読み書き速度が圧倒的に早いからです。
ですがメモリ(メインメモリ)の容量が少ないと、高性能なCPUを搭載していたとしても十分な性能を発揮できません。3DCGなどの処理するデータ量が多いほどメモリの容量は重要です。メモリの容量が足りない場合はストレージを利用することになるため、処理が大幅に遅くなります。
ROMは読み出し専用の保存領域(ファームウェアを記録するために使用)
電源を切ってもデータが消えないROMは、マザーボードのBIOSやハードディスク、ルーターなどの周辺機器に内蔵されているファームウェアを記録するために使用されています。
これらは通常時の動作では書き換えできませんが、アップデートなどの場合に限り、更新できる仕組みになっています。
ROM(Read Only Memory):
ROMは、書き込み不可・読み出し専用の保存領域です。
HDDやSSDなどのストレージは、書き込み可能・読みだし可能な保存領域なのでROMではありません。
- ファームウェア
- ファームウェアは、ハードウェアを制御するためのソフトウェア(プログラム)で、マザーボードについているパーツです。
ファーム(firm):硬い、堅固な
ウェア(ware):製品、~のソフト
あまりプログラムが変更されないことから「ファームウェア(硬いソフトウェア)」と呼ばれます。「ハードウェア(硬い製品)」よりの「ソフトウェア(柔らかい製品)」だと思ってください。
パソコンのファームウェアは「BIOS(Basic Input/Output System):バイオス}です。
BIOSは、OS(Windows・Mac・Linuxなど:パソコンの内部を管理)が起動する前に働く、ハードウェアを制御するプログラムです。ハードディスクが動かないとOSは起動しません。
注意:メモリの動作クロックには制限がある(マザーボード、CPUに対応したメモリでなければ動作しない)
メモリが高速でも、マザーボード(チップセット:CPUで処理したデータをメモリやグラフィックボードやHDDやキーボードなどの各機器に送る、マザーボードの部品)、CPUが対応していないと速度を生かせません。
メモリを購入する前に、PCに搭載している「マザーボード(チップセット)」「CPU」がサポートするメモリについてメーカーのウェブサイトで調べましょう。
「マザーボード(チップセット)」「CPU」がサポートしていないメモリを使用した場合、ダウンクロックされて動作するか、最悪の場合動作しません。
「マザーボード(チップセット)」と「CPU」とが対応する範囲でメモリを選ぶのが安全です。
メモリをオーバークロックできるかどうかもマザーボード(チップセット)、CPUの仕様によります。
例1)マザーボードによるメモリの制限
ASRockのマザーボード「890FX Deluxe5」の場合、サポートされるメモリは以下の通りです。
・デュアルチャネル DDR3 メモリテクノロジー
・4 x DDR3 DIMM スロット
・DDR3 2000(OC)/1866/1800/1600/1333/1066/800 non-ECC、アンバッファード・メモリに対応 ・システムメモリの最大容量: 32GB*
デュアルチャンネル DDR3 2000(OC) 対応
参考:890FX Deluxe5
例えばASRockのマザーボード「890FX Deluxe5」に対してDDR3-2400MT/sのメモリを搭載した場合、メモリはマザーボードが対応する最高速度の2000(OC)MT/sまでダウンクロックします。
OC(オーバークロック):定格以上での動作。
オーバークロックするにはBIOS(Basic Input/Output System「バイオス」:OSが起動する前のタイミングで、CPUやメモリ、キーボード、マウスなどの設定・管理を行う)での設定が必要です。
例2)CPUによるメモリの制限
IntelのCPU「Core i5-3470」の場合、サポートされるメモリは以下の通りです。
・最大メモリーサイズ(メモリーの種類に依存) 32GB
・メモリーの種類 DDR3 1066/1333
参考:インテル® Core™ i5-3470 プロセッサー
例えばIntelのCPU「Core i5-3470」に対してDDR3-1600MT/sのメモリを搭載した場合、メモリはCPUが対応する最高速度の1333MT/sまでダウンクロックします。
RAMの理解(RAM=DRAM)とメモリ選びのポイント(メモリ枚数・DDR)

メモリのことをRAMと呼びますが、RAMには「DRAM」「SRAM」の2種類があります。RAM(メインメモリ:主記憶装置)は、基本的に「DRAM」だと思ってください。
※ROMはファームウェア(ハードウェアを制御するためのプログラム)を記録するために使用されます。
現在主流のメモリチップ:DDR4
現在主流のメモリモジュール:DIMM
Cinema 4Dなどの3DCG制作ソフトを利用する人は、基本的に「DDR4 SDRAM-DIMM」を購入しましょう。
DDR5の方がDDR4より性能は上ですが価格が高すぎるため、コスパを考えるとDDR4がおすすめです。またDDR5とDDR4とを比較した際、多くの場面で処理速度の違いはほとんど実感できません。
DRAM(メインメモリ)とSRAM(キャッシュメモリ)との比較「RAM」は基本DRAMを意味する
RAMには「DRAM」「SRAM」の2種類があります。
RAM(メインメモリ:主記憶装置)は、基本的に「DRAM」だと思ってください。
DRAM | SRAM | |
---|---|---|
用途 | メインメモリ (主記憶装置) | キャッシュメモリ (CPU内部に存在する) |
アクセス速度 | 遅い | 早い |
容量 | 大きい | 小さい |
容量当たりの単価 | 安い | 高い |
- DRAM(Dynamic Random Access Memory:ディーラム)とは:
- ・メインメモリ(主記憶装置)として利用される
・アクセス速度はSRAMより遅い
・容量が大きい
・SRAMより容量当たりの単価が安い
- SRAM(Static Random Access Memory:エスラム)とは:
- ・キャッシュメモリ(CPU内部に存在する)として利用される
・アクセス速度はDRAMより早い
・容量が小さい
・DRAMより容量当たりの単価が高い
メモリチップ(メモリ基盤上のデータ処理を行う場所)の変遷「DRAM」→「SDRAM」→「DDR SDRAM」
RAM(Random Access Memory)にはDRAM(メインメモリとして利用)とSRAM(キャッシュメモリとして利用)とがあります。
DRAM(メインメモリとして利用)のメモリチップの進化について簡単に説明します。
メモリチップ(メモリ基盤上のデータ処理を行う場所)の大まかな変遷は、以下の通りです。
- DRAM(Dynamic RAM)
- SDRAM(Synchronous DRAM)
DRAMより効率よくデータ転送できます。
DRAMと略されて呼ばれることがあります。 - DDR SDRAM(Double-Data-Rate SDRAM)※現在の主流
DDR SDRAMは、SDRAMよりデータ転送能力が優れています。
メモリモジュールの規格まで入れて書くと「DDR SDRAM-DIMM」ですが、「DDRメモリ」と省略されることが多いです。
DDRは、DDR、DDR2、DDR3、DDR4、DDR5と進化していく過程で、データ転送を高速化しつつ省電力化しています。コスパを考えるとDDR4を購入するのがおすすめです。
DDRメモリは世代間に互換性がありません。
DDRは世代が変わるとメモリの形(切り欠き位置やピンの数)が変わるため、互換性がなくなります。例えばDDR3からDDR4に乗り換える際は、マザーボードごと交換となります。
「メモリモジュール(メモリを構成する部品を搭載した基板)」の変遷「はんだ付け」→「SIMM」→「DIMM」
メモリモジュール(メモリを構成する部品を搭載した基板)の大まかな変遷は、以下の通りです。
- メモリはマザーボードに直接はんだ付け(交換不可)
- SIMM(Single Inline Memory Module)の登場
(統一規格として専用基盤にモジュール化された) - DIMM(Dual Inline Memory Module)の登場
(SIMMより処理能力が向上し、より多くのデータをやりとりできる)※現在の主流
現在のメモリは、マザーボードに差し込んでロックするだけなので簡単に取り付けられます。また取り外す際もロックを外して引き抜くだけなので、メモリの交換は非常に楽です。
デスクトップパソコン用のメモリとノートパソコン用のメモリには、互換性がありません。
ノートパソコン用に幅がスリムになったメモリ「SO-DIMM」「Micro-DIMM」もありますが、3DCG制作を行う場合デスクトップパソコンが主流なので説明は割愛します。
省スペースデスクトップパソコンではSO-DIMMが使用されることもあります。
メモリのスペックを見るときのポイント(チップ規格・モジュール規格=表記、メモリタイミング=遅延、チャネル=枚数、ヒートシンク=放熱)

・チップ規格・モジュール規格=表記
メモリの表記(例:DDR4 3200Mhz PC4-25600)を見ても知識が無ければ意味を理解できません。チップ規格とモジュール規格とを知ることで、各メモリのデータ処理スピードを比較できるようになります。
・メモリタイミング=遅延
「メモリタイミング(例:16-16-16-36)」は、コマンドが入力されてからデータが使用できるようになるまでの時間差=レイテンシ(遅延)をクロック単位で表記したものです。4つそれぞれの数値が小さいほどレイテンシ(実際の遅延時間)は少ないため、高性能です。
・チャネル=枚数
メモリの枚数が増えるほど処理は高速となります。
「シングルチャネル(メモリ1枚挿し)」<「デュアルチャネル(メモリ2枚挿し)」<「クアッドチャネル(メモリ4枚挿し)」
3DCG制作ソフトを使用する場合、メモリは「2枚1組」か「4枚1組」を購入しましょう。
・ヒートシンク=放熱
ヒートシンク(放熱を行う金属板)がついているメモリと、ついていないメモリとがあります。メモリはCPUほど熱くならないため、基本的にヒートシンクは不要です。デザイン性を考慮するならヒートシンクがついているメモリを選んでください。
DDR SDRAM-DIMMのメモリ表記「DDR4 3200Mhz PC4-25600」の例
DDR4 3200Mhz PC4-25600の例

※「DDR4-3200」=「DDR4-3200Mhz」
- チップ規格
- 「DDR4」はメモリチップの種類を表しています。
DDRの数値が大きいほど高性能です。
「3200Mhz」は動作クロック(Mhz)を表しています。メモリ自体のクロック周波数のことです。クロック周波数が高いほど、メモリが一度に送れる情報量が増えます。
MT/s(Mega Transfer per second)という単位で示すことがあります。
Mhz(MT/s)の数値が大きいほど高性能です。
- モジュール規格
- 「PC4」はメモリモジュールの種類を表しています。DDRの数値と対応しています。
・DDR5「PC5」
・DDR4「PC4」
・DDR3「PC3」
・DDR2「PC2」
・DDR「PC」
「25600」はデータ転送レート(1秒間に送るデータの量・回数)を表しています。
1クロックあたり64ビット(8バイト)転送するので、3200(MHz)×8(バイト)=25600(MB/s)となります。
データ転送レートの数値が大きいほど高性能です。
データ転送レートの理論値が中途半端な数値となった場合、大体の数値で表記されます。
例えば「DDR4-2666」の場合、2666(Mhz)×8(バイト)=21328となりますが、表記は21300(PC4-21300)とする場合が多いです。
メモリタイミング(4か所の遅延:クロック単位)とレイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)
メモリのスペックで見かける4つの連続した数値(「16-16-16-36」や「18-22-22-42」など)は「メモリタイミング」と呼ばれます。
「メモリタイミング」は、コマンドが入力されてからデータが使用できるようになるまでの時間差=レイテンシ(遅延)をクロック単位で表記したものです。
4つそれぞれの数値が小さいほどレイテンシ(実際の遅延時間)は少ないため、高性能です。
※メモリタイミングは、メモリの容量、メモリのデータ転送速度より、重要度は低いです。
メモリタイミングの4つの数値の意味は、以下の通りです。
※先頭の「t」はクロック数のこと。例)tCL=10の場合、10クロック分の時間
- 1番目の数値「CL(CAS Latency)」:
メモリモジュール(メモリを構成する部品を搭載した基板)がメモリコントローラー(メモリのデータを読み書きするための部品)の要求に応じてデータを準備するための時間。 - 2番目の数値「tRCD(Row Column Delay)」:
メモリの準備ができた後、メモリの読み取りにかかる時間。 - 3番目の数値「tRP(Row Precharge Time)」:
新しい行でデータを使用するために、メモリが準備にかかる時間。 - 4番目の数値「tRAS(Row Active Time)」:
行がアクティブになって、データへアクセスできるまでの最小時間。
メモリタイミングの中で最も重要なのが、1番目の数値「CL(CAS Latency)」です。
メモリタイミングの2番目以降の数値を省いて「CL16」や「CL18」のように表記するメモリもあります。
「CL16」のメモリであれば16クロック分、「CL18」のメモリであれば18クロック分の遅延時間が生じます。
レイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)の計算式
メモリタイミングからレイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)を求めるための式は以下の通りです。
レイテンシ=メモリタイミング÷クロック信号の周波数
※クロック信号の周波数は、メモリの動作クロックの2分の1倍です。DDRメモリは、1回のクロック信号で2回のデータ転送ができるためです。
レイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)の計算例
メモリ:DDR4-3200(クロック信号=1,600MHz) CL22
22(Clock) ÷ 1,600,000,000(Hz) = 0.00000001375(秒) = 13.75ns(ナノ秒)
※1秒=10億ナノ秒
各メモリによって動作クロックの値は異なります(例:DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)。
動作クロックの値が大きいほど、1クロックの時間は短くなります。
- 仮に2つのメモリのメモリタイミング(クロック単位)が同じ場合:
- 動作クロックの値が大きいほど、レイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)は短くなるため高性能です。
・DDR4-3200 CL16
16(Clock) ÷ 1,600,000,000(Hz) = 0.00000001(秒) = 10.00ns(ナノ秒)
・DDR4-3600 CL16 ←こっちが高性能(データ転送が高速かつレイテンシが短い)
16(Clock) ÷ 1,800,000,000(Hz) = 0.00000000889(秒) = 8.89ns(ナノ秒)
- 仮に2つのメモリのレイテンシ(実際の遅延時間:ナノ秒単位)が同じ場合:
- 動作クロックの値が大きいほど、データ転送は高速となるため高性能です。
・DDR4-3200 CL16 10ns
レイテンシ(実際の遅延時間)は10ナノ秒
・DDR4-3600 CL18 10ns ←こっちが高性能(レイテンシは同じだがデータ転送が高速)
レイテンシ(実際の遅延時間)は10ナノ秒
メモリを複数枚使用して処理を高速化「シングルチャネル」<「デュアルチャネル」<「クアッドチャネル」
CPUとメモリとの間でのデータの受け渡し方法には、主に4種類あります。メモリの枚数が増えるほど、基本的には処理が高速となります。帯域幅が広い(CPUがアクセスできるメモリの枚数が多い)ほど、データの転送量は多くなるためです。
チャネルは、よく車線で例えられます。
- メモリ1枚を使う(1車線):「シングルチャネル」
- メモリ2枚を使う(2車線):「デュアルチャネル」
- メモリ3枚を使う(3車線):「トリプルチャネル」※現在はほぼ使用されない
- メモリ4枚を使う(4車線):「クアッドチャネル」
3DCGソフトを使用する場合「デュアルチャネル」や「クアッドチャネル」がおすすめです。
マザーボード(基盤)に規格と容量が同じメモリを2枚1組(4枚1組)で搭載します。するとCPUが2枚(4枚)のメモリに同時アクセスできるようになり、データの転送量が向上します。
もし小容量のデータしか扱わない場合「デュアルチャネル」や「クアッドチャネル」の恩恵は少なくなります。
- 「シングルチャネル」の例:16GBx1枚(遅い)
- 「デュアルチャネル」の例:8GBx2枚(速い)
- 「クアッドチャネル」の例:4GBx4枚(さらに速い)
- 「デュアルチャネル」と「クアッドチャネル」のメリット・デメリット
- 「デュアルチャネル」にする場合:
・2枚1組で販売されているものを購入 例)8GB(4GB×2枚)
・シングルチャネルより処理速度が速い
例)8GB(8GB×1枚)と8GB(4GB×2枚)とを比較した場合、8GB(4GB×2枚)の方が転送速度は速くなります。
「クアッドチャネル」にする場合:
・4枚1組で販売されているものを購入 例)16GB(4GB×4枚)
・デュアルチャネルより処理速度が速い
例)16GB(8GB×2枚)と16GB(4GB×4枚)とを比較した場合、16GB(4GB×4枚)の方が転送速度は速くなります。
メモリのチャネルに関する注意点
・異なるメモリを複数枚使う場合、誤動作の原因となります。
また「デュアルチャネル」「クアッドチャネル」を使用する場合、対応するマザーボード(基盤)、CPUが必要です。マザーボード(基盤)、CPUによっては「シングルチャネル」しか対応しません。
・使用するアプリケーションによって「デュアルチャネル」「クアッドチャネル」の効果は変わります。
メモリの負担が軽いアプリケーションを使用する場合「デュアルチャネル」「クアッドチャネル」の効果は薄いです。
・「デュアルチャネル」「クアッドチャネル」に対応するマザーボードだとしても、マザーボードの正しいスロットにメモリを挿す必要があります。
間違ったスロットにメモリを挿すと「デュアルチャネル」「クアッドチャネル」として機能せず「シングルチャネル」となるため、マザーボードのマニュアルを読みましょう。
ヒートシンク(ヒートスプレッダ):放熱を行う金属板
値段の高いメモリになると、放熱のための部品「ヒートシンク」がついている製品もあります。メモリの熱を吸い取って空気中に放出することで、メモリを安定動作させるのが目的です。
メモリをオーバークロックして動作クロックの周波数を上げる場合は、処理が高速となるため熱も上がりやすい状態となります。
ですがCPUのような高熱とはならないため、メモリに「ヒートシンク」が必須とは言えません。多くのメモリで「ヒートシンク」が取り付けられていないように、基本的には不要です。もし発熱が心配なときは、別途ヒートシンクを購入してメモリに取り付けられます。
メモリに限らず、パソコンの各パーツは起動中に熱を帯び、場合によっては機能不全となります。各パーツを正常に機能させるため、また火災などの事故防止にためにも、パソコンの排熱には気を配りましょう。
メモリの有名なメーカー(ブランド)一覧

メモリメーカーには2種類あります。「チップ(DRAM)」のメーカーと「モジュール(メモリ製品)」のメーカーです。
「チップ」の主なメーカー(3社で世界シェアのほとんどを占める)は以下の通りです。
- Samsung Electronics(韓国)
- SK Hynix(韓国)
- Micron Technology(米国)
「モジュール」のメーカーは国内だけでも10社以上あり、海外製品も多数あります。基本的には、メモリメーカーと言えば「モジュール」のメーカーだと思ってください。「モジュール」のメーカーは「チップ」のメーカーからDRAMチップを買い、自社で基板に実装して製品化します。
メモリのラインナップは非常に豊富ですが、特に有名なメーカー(ブランド)をご紹介します。
原則としてメモリには規格があり、メーカーが違っていても同じ仕様であれば同じように動作します。各製品で多少の性能差があっても実感として分かりづらいため、迷ったときは価格の安い方のメモリを購入しても基本的には問題ありません。
参考:BCN AWARD 部門別受賞企業 メモリ
Crucial(クルーシャル)世界最大級の定番メモリメーカー
-1.png)
世界的に有名なメモリメーカーのMicron Technologyが手掛けるブランドです。Micron Technologyは、チップメーカーであり、モジュールメーカーでもあります。メモリやSSDを中心に開発を行っています。Crucial(クルーシャル)のメモリは多くのテストを経て製品となっているため高品質で、定番のメモリです。
Corsair(コルセア)オーバークロック向きで、デザイン性が高い
-1.png)
ゲーミング用PCパーツで有名なアメリカに本社を置くCorsair(コルセア)。値段は他メーカーと同等以上な場合が多く、性能を最大限引き出せるようオーバークロック向きのメモリも出しています。またミドルクラスからハイエンドモデルではLEDや派手なヒートシンクを搭載しており、メモリの見た目にこだわりたい方にもおすすめです。
CFD(シー・エフ・ディー)国産のお手頃価格で、豊富なラインナップ
.png)
名古屋に本社がある日本企業です。メモリはLEDやヒートシンクを搭載していないシンプルなデザインが多いため、他のPCパーツへの干渉を防げます。
パソコンパーツの販売代理店でもあり、シー・エフ・デー販売はパソコン周辺機器で有名なバッファローと同じメルコホールディングスの子会社です。Crucial(クルーシャル)も取り扱っています。
CENTURY MICRO(センチュリー・マイクロ)国内生産で高品質
.png)
40年以上の製造実績があり、DRAMモジュールに特化した専門メーカーです。高品質で、比較的高価格帯の製品が多いです。規格を忠実に守るイメージが強く、安定志向のユーザーに人気です。モジュールメーカーでは珍しく、オーバークロック対応のメモリをほとんど販売していません。
G.Skill(ジー・スキル)高価格、高性能、高品質
.png)
台湾に拠点があり、愛用者も多いメーカーです。オーバークロックにも力を入れており、メモリのオーバークロック大会「OC World Cup」を主催しています。
SanMax(サンマックス)国内メーカー、品質安定
.png)
メモリの実装ラインで検査を徹底しており、品質が安定しています。
Silicon Power(シリコン・パワー)安価で信頼性もある
.png)
台北に本社を置き各国に展開しています。他メーカーと比べて安価で購入でき、品質も問題ありません。人気の高いブランドで、初めて自作PCに取り組む方へもおすすめです。
Kingston(キングストン)世界トップシェア
.png)
キングストンはアメリカのモジュールメーカーです。国内ではあまり目立ちませんが、世界市場では圧倒的なシェアを持っています。SSDやSDカード、USBメモリも扱っています。
ADATA(エーデータ)台湾の大手メーカー
.png)
台湾に拠点を構えるメーカーです。国内ではSSDメーカーとしても有名ですが、メモリでも大手の一角です。SDカードやUSBメモリのラインアップも充実しています。「XPG」というゲーミングブランドでも製品を展開しています。
Team(チーム)大容量で安価
.png)
台湾のメーカーで、世界の市場では大手に入ります。SSD、SDカード、USBメモリなどフラッシュメモリを使ったストレージも販売しています。「T-FORCE」というゲーミングブランドを展開しています。
Transcend(トランセンド)世界的な認知のあるメーカー
.png)
台湾のメーカーで、世界的には大手のメモリモジュールメーカーです。国内ではSSDやSDカード、USBメモリなどストレージのメーカーとして有名です。
Cinema 4D(3DCGソフト)利用者におすすめのメモリ構成、推奨される動作環境

Cinema 4Dなどの3DCGソフトユーザーは以下を参考にしてください。
コスパ重視のメモリ構成
最低限の構成
DDR4-2000~3000番台を「デュアルチャネル(16GBx2枚=32GB)」で購入
おすすめの構成
DDR4-2000~3000番台を「クアッドチャネル(16GBx4枚=64GB)」で購入
Maxonが推奨するCinema 4Dの動作環境
- Cinema 4Dの場合、使用するメモリの容量は以下が推奨されています。
- Windows:8GB以上のメモリ(16GB以上推奨)
macOS::4GB以上のメモリ(8GB以上推奨)
参考:動作環境
筆者の場合、Cinema 4Dの他にもAdobe、Google Chrome、YouTubeなども開いて作業するため、最低でも32GB、予算があるなら64GBを購入します。
Cinema 4Dを使用する場合のメモリ容量(Windowsの場合)は、以下を参考にしてください。
- 8GB:Cinema 4Dを使用する上で最低限の容量
- 16GB:Maxonが推奨する容量
- 32GB:Cinema 4D以外に、Adobe、Google Chrome、YouTubeなどを開くと余裕がない
- 64GB:Cinema 4D以外に、Adobe、Google Chrome、YouTubeなどを開いても余裕がある(おすすめ)
- 128GB:メモリに異常な負荷をかけない限り持て余す(処理速度の変化も実感できない)
メモリ容量を増やすことで、CPUが必要なプログラムやデータの保存領域が増え、動作が早くなったり、フリーズしにくくなったり、パソコンのパフォーマンスが向上します。デスクトップパソコンの場合、メモリは簡単に増設できます。
3DCG制作ソフトにおすすめのメモリチップ「DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600」
Cinema 4Dなどで3DCG制作をやる場合、コスパを考えると以下のメモリがおすすめです。
- DDR4-2400
- DDR4-2666
- DDR4-3200
- DDR4-3600
動作クロックの数値が高いほど動作は快適です。
メモリを購入する際は、マザーボードとCPUとがそのメモリをサポートしているか確認しましょう。
3DCG制作ソフトにおすすめのメモリ枚数「デュアルチャネル(メモリ2枚挿し)」「クアッドチャネル(メモリ4枚挿し)」
メモリの枚数が多いほど帯域幅が広がり、理論上はデータの転送量が向上します。
メモリ1枚を使う「シングルチャネル」よりも、メモリ2枚を使う「デュアルチャネル」、メモリ4枚を使う「クアッドチャネル」の方が処理は高速です。
3DCG制作ソフトを利用する場合におすすめのメモリ構成
「デュアルチャネル(メモリ2枚挿し)」
・8GB×2枚=16GB
・16GB×2枚=32GB
「クアッドチャネル(メモリ4枚挿し)」
・16GB×4枚=64GB
・32GB×4枚=128GB
メモリへの負荷が少ないアプリケーションを使用する場合は、メモリの枚数を増やす効果が薄まります。そのためメモリの枚数を増やしたからと言って、必ずしも処理速度の向上を実感できるものではありません。
デスクトップPC用メモリ「デュアルチャネル(8GB×2枚・16GB×2枚)」DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600
以下の規格のメモリを紹介します。
- 8GB×2枚=16GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
- 16GB×2枚=32GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
Maxonは16GB以上のメモリを推奨しています。「16GB×1枚=16GB」より「8GB×2枚=16GB」の方が、理論的には処理が高速となります。
Cinema 4D以外にAdobe、Google Chrome、YouTubeなども開いて作業する場合は「16GB×2枚=32GB」をおすすめします。
ですがメモリの余裕を考えると「16GB×4枚=64GB」が理想的です。
8GB×2枚=16GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
以下の規格のメモリについて、Amazonで高評価を得ているメモリを3つずつ紹介します。
厳選したメモリを掲載していますが、実際にレビューを見て参考にしてください。
- 8GB×2枚=16GB(DDR4-2400)
- 8GB×2枚=16GB(DDR4-2666)
- 8GB×2枚=16GB(DDR4-3200)
- 8GB×2枚=16GB(DDR4-3600)
8GB×2枚=16GB(DDR4-2400)
8GB×2枚=16GB(DDR4-2666)
8GB×2枚=16GB(DDR4-3200)
8GB×2枚=16GB(DDR4-3600)
16GB×2枚=32GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
以下の規格のメモリについて、Amazonで高評価を得ているメモリを3つずつ紹介します。
厳選したメモリを掲載していますが、実際にレビューを見て参考にしてください。
- 16GB×2枚=32GB(DDR4-2400)
- 16GB×2枚=32GB(DDR4-2666)
- 16GB×2枚=32GB(DDR4-3200)
- 16GB×2枚=32GB(DDR4-3600)
16GB×2枚=32GB(DDR4-2400)
16GB×2枚=32GB(DDR4-2666)
16GB×2枚=32GB(DDR4-3200)
16GB×2枚=32GB(DDR4-3600)
デスクトップPC用メモリ「クアッドチャネル(16GB×4枚・32GB×4枚)」DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600
以下の規格のメモリを紹介します。
- 16GB×4枚=64GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
- 32GB×4枚=128GB(DDR4-2666 / 3200 / 3600)
Cinema 4Dを使用する場合「16GB×4枚=64GB」は理想的です。
Cinema 4D以外にAdobe、Google Chrome、YouTubeなどを開いても、メモリ容量には十分な余裕があります。
メモリに多くの負荷をかける場合は「32GB×4枚=128GB」を検討してください。
16GB×4枚=64GB(DDR4-2400 / 2666 / 3200 / 3600)
以下の規格のメモリについて、Amazonで高評価を得ているメモリを3つずつ紹介します。
厳選したメモリを掲載していますが、実際にレビューを見て参考にしてください。
- 16GB×4枚=64GB(DDR4-2400)
- 16GB×4枚=64GB(DDR4-2666)
- 16GB×4枚=64GB(DDR4-3200)
- 16GB×4枚=64GB(DDR4-3600)
16GB×4枚=64GB(DDR4-2400)
16GB×4枚=64GB(DDR4-2666)
16GB×4枚=64GB(DDR4-3200)
16GB×4枚=64GB(DDR4-3600)
32GB×4枚=128GB(DDR4-2666 / 3200 / 3600)
以下の規格のメモリについて、Amazonで高評価を得ているメモリを3つずつ紹介します。
厳選したメモリを掲載していますが、実際にレビューを見て参考にしてください。
- 32GB×4枚=128GB(DDR4-2666)
- 32GB×4枚=128GB(DDR4-3200)
- 32GB×4枚=128GB(DDR4-3600)