PCケースとは?PCケース選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

PCケースとは?PCケース選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

PCケースはPCそのものの性能に直接影響しないため、価格の安さ・見た目の好みで選びがちです。それも間違いではありません。
ですがクリエイター向けの高性能なパーツで構成されたPCの場合、以下4点に気を配る方が良いでしょう。

  • ミドルタワー・・・ATXのマザーボードが搭載できる
  • メッシュパネル・・・エアフローでCPU・GPUを効率的に冷やせる
  • ケースカバー(パネル)の着脱が簡単・・・メンテナンスが楽
  • デザイン・・・好みの形状・色(黒/白/ピンク/緑など)があれば考慮

この記事では、PCケースの基礎知識をまとめています。またCG制作などを行うクリエイターに、おすすめのPCケースも紹介しています。
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PCケースを選ぶ際のポイント4選(サイズ/エアフロー/遮音性/ケースカバー)

ミドルクラス以上のPCパーツを使用している場合、PCケースは静音性よりも冷却性能を優先した方が良いでしょう。
よってPCケースを選ぶポイントは、主に以下の4点です。

  • サイズ(フルタワー/ミドルタワー/ミニタワー)
  • エアフロー(PCパーツの冷却性能)
  • 遮音性(ファンの回転音漏れ)
  • ケースカバー(着脱が簡単か)

PCケースに収める各パーツについての簡単な説明は、以下の記事をご覧ください。

各PCパーツの簡単な説明:パソコンを構成する各PCパーツ(CPU・CPUクーラー/メモリ(RAM)/グラフィックボード(GPU)/ストレージ(HDD・SSD)/電源ユニット(PSU)/PCケースなど)の簡単な説明は、以下の記事にまとめています。

PCパーツまとめ一覧(自作したい人のための各PCパーツ解説)

サイズ(フルタワー/ミドルタワー/ミニタワー)

以下の点を確認してください。

  • 使用するPCパーツの組み込みやすさ
    「マザーボード」「CPUクーラー(空冷/簡易水冷)」「グラフィックボード」「電源ユニット」がPCケースに収まるかは、特に注意が必要です。
  • 今後PCパーツを増設する予定がある場合、拡張性はあるか
    高性能なパーツほど大きく、今後も大型化するでしょう。
  • 置き場所を確保できるか
    部屋の広さを考慮して、PCケースの具体的なサイズを確認しておきます。

マザーボードの規格(大きさ)、CPUクーラーにおける「空冷」「簡易水冷」の違い、電源ユニットの種類を確認したい場合、以下の記事をご覧ください。

マザーボード:CPU・メモリ(RAM)・ストレージ(HDD/SSD)・グラフィックボード(GPU)・電源ユニット(PSU)など、全ての部品はマザーボード(基盤)に接続されます。マザーボードによって対応するCPU・GPU・メモリの最大容量が異なるため、注意が必要です。またサイズ(フォームファクタ)によっては、所有するPCケースに収まりません。

マザーボードとは?PCパーツのマザーボード選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

CPUクーラー:CPUを冷却するためのパーツで、CPUに高負荷をかけた際のCPUの性能低下や誤作動、故障などのリスクを抑えます。最も発熱しやすいPCパーツであるCPUは、冷却が常に課題となります。CPUの性能に見合ったCPUクーラーでなければ、十分な冷却ができません。

CPUクーラーとは?PCパーツ「空冷」「水冷」選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

電源ユニット(PSU):電源ユニットは、マザーボードに接続された各PCパーツに電力を供給します。PCの安定動作に影響します。最も多くの電力を消費するのは、グラフィックボード(GPU)とCPUです。パソコン全体に必要な電力を計算して、適切な電源容量(W:ワット数)の電源ユニットを選びましょう。

電源ユニットとは?PCパーツの電源ユニット選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

デスクトップPC(BTOパソコン):パソコンを自作する(自分でPCパーツを揃えて、自分で組み立てる)のが面倒な場合は、BTOパソコンを検討してください。
ネット上で構成パーツを指定するだけで、組み上がったパソコンが自宅に届きます。自作PCでありがちな、パーツ選びのミスも起こりません。出荷前に起動テストされているため、届いたらすぐにパソコンを使用できます。

3DCG制作のおすすめデスクトップPC【初心者/中級者/上級者】(BTOパソコンメーカー9選)

ノートパソコン:3DCG制作のような重たい作業も、ノートPCで可能です。自宅でも色んな場所で作業したい、出先で作業したい、と思っているならノートPC一択です。パソコンに機動性を重視しない場合は、デスクトップPCの方が割安です。

【保存版】初心者にオススメの3DCG制作用ノートPCの選び方ガイド

エアフロー(PCパーツの冷却性能)

クリエイター向けPCは、比較的に高性能なパーツで構成されます。高負荷で高性能なCPU・グラフィックボード(GPU)を使う場合、エアフローによる冷却は特に重要です。

具体的には、メッシュ構造(通気孔があるタイプ)のケースカバー(パネル)を選ぶと良いです。
メッシュ構造ではないPCケースと比べて、メッシュ構造のPCケースの方が、CPU・GPUの温度は約5~10度低いです。

CPU・グラフィックボード(GPU)について知識を得たい場合は、以下の記事を読んでみてください。

CPU:マウス、キーボード、ハードディスク、メモリー、周辺機器などからデータを受け取り、CPUが制御・演算を行います。

CPUとは?PCパーツのCPU選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

グラフィックボード(GPU):グラフィックボードは、画像処理に特化して計算を行うGPU(半導体チップ)を搭載しています。

グラフィックボード(GPU)とは何かを確認、クリエイター(3DCG制作)向けおすすめ紹介

グラフィックボード(GPU)の設定:グラフィックボードの設定を見直してみましょう。
-色深度(RGBそれぞれが表示できる色数)を10bitに設定
-ドライバーの更新(不具合の修正・アップデート)

グラフィックボードを買ったらやるべきこと(クリエイター向け)「色深度:10bit」「ドライバー更新」

遮音性(ファンの回転音漏れ)

高負荷時は各パーツ(ケースファン、CPUクーラー、グラフィックボード、電源ユニット)のファンが激しく回るため、ファンの回転音がPCケースの外まで漏れます。

  • メッシュ構造型PCケース:遮音性は低い(冷却性能は高い)
  • 通気孔がないPCケース:遮音性は高い(冷却性能は低い)

今後もPCパーツが高性能化していくことを考えると、多くの人にとっては騒音以上にエアフローが重要でしょう。ファンの回転音がPCケースの外に漏れてくることによる騒音は、受け入れるしかありません。
もしくは、セミファンレス・ファンレスのグラフィックボード、電源ユニットを検討してください。

ケースカバー(着脱が簡単か)

ケースカバー(特に吸気で使用した際のフロントパネル)にはほこりが溜まるため、ツールレスで簡単に着脱できる方が望ましいです。ネジで固定するパネルの場合、ドライバーで着脱することになるため面倒です。

ほこりがパネルの通気孔に付着していると、エアフローの妨げとなります。定期的にフロントパネルを取り外し、シャワーでほこりを洗い流すと良いでしょう。

ケースタイプ「フルタワー(拡張性高い)」「ミドルタワー(一般的・基本これでOK)」「ミニタワー(コンパクト)」の違い

高性能なCPU・グラフィックボード(GPU)を使用する場合、エアフローの充実した(通気孔が多く、冷却性能が高い)PCケースが良いです。
メッシュ型PCケースのデメリットは、通気孔からファンの回転音が漏れて多少うるさく感じることです。とはいえ、熱がこもるPCケース(パネルに通気孔が無いタイプ)よりおすすめです。

YouTube:【PCケース】PCパーツを入れる箱って知ってる?フルタワー、ミドルタワー、ミニタワーについて解説してみた。開封動画もあるよ/クーラーマスター Master Case H500P【ふぶきテトラ】
YouTube:RTX4080のために買ったフルタワーケースが想像以上に良かった件について【自作PC】
参考:ミドルタワ―などPCケースのサイズ・大きさを徹底解説!
参考:【2023年】フルタワーPCケースのおすすめ人気ランキング41選

以下の表は、PCケースにおける各サイズの特徴を示しています。
※実際のサイズ、冷却性能、メンテナス性、デザインなどは、個々のPCケースで異なります。

PCケース(筐体)の種類フルタワー
「大」
ミドルタワー
「中」
(迷ったらこれ)
ミニタワー
「小」
大きさ、重さ大きい、重たい大きめ、比較的重たい小さめ、比較的軽め
PCケース内の広さ広い広め狭い
大まかなサイズ
(目安)
サイズ:大
縦:約55~65cm
奥行:約55~65cm
横:約25~30cm
サイズ:中
縦:約40~55cm
奥行:約40~55cm
横:約20~25cm
サイズ:小
縦:約30~40cm
奥行:約30~40cm
横:約15~20cm
対応マザーボード目安
(基本的に大は小を兼ねるが、各PCケースで仕様確認必須)
Extended-ATX(E-ATX)規格以下のマザーボードが入るATX規格以下のマザーボードが入るMicro-ATX規格以下のマザーボードが入る
対象者ハイスペックPCを組んで、今後も自由に拡張したい高性能PCでも使用されることが多く、万人向けパーツをぎちぎちに組み込みたい、自作PC上級者向け
PCパーツの取り付けやすさ取り付けやすい

大型のCPUクーラー・グラボも余裕で入る
比較的取り付けやすい

大型のCPUクーラー・グラボも大体入る
取り付けづらい

大型のCPUクーラー・グラボは入らない
配線のしやすさ配線しやすい
(ケーブルを無理に曲げる必要が無い)
比較的配線しやすい
(ケーブルを多少曲げる)
配線しづらい
(ケーブルを曲げて詰め込む場合がある)
コンパクトさ場所を取る比較的場所を取る比較的場所を取らない
エアフロー
(空気の循環でPCパーツを冷却する)
内部空間(パーツ間の距離)が広く、空気が流れる内部空間(パーツ間の距離)が広めで、空気が流れやすい内部空間(パーツ間の距離)が狭めで、空気が流れづらい
冷却性能
(傾向)
冷えやすい比較的冷えやすい比較的冷えづらい
ストレージ(SSD・HDD)の搭載数目安

※ストレージベイ(PCケース内部におけるストレージの設置スペース)
4個以上2~4個
大容量「M.2 SSD」をマザーボードに設置すれば、ストレージベイは2つ程度で足りるだろう。
内蔵SSD・HDDにこだわらない場合、外付けのストレージでOK。
0~2個
AmazonリンクPCケース フルタワーPCケース ミドルタワーPCケース ミニタワー
フルタワー・ミドルタワー・ミニタワーの特徴比較

デュアルチャンバー(PCケース内部を左右に仕切る)構造PCケースのメリット・デメリット

デュアルチャンバーとは
PCケース内部を2つに分けた設計により、充実したエアフローが期待できます。

参考:これで全てが分かる。CORSAIR「Crystal Series 680X RGB」徹底解説
YouTube:【オシャレで よく冷えるけど・・高い・・】 デュアルチャンバー おすすめ PCケース 【自作PC】

デュアルチャンバーのメリット
・マザーボードの上下を遮るものが無くなり、吸気・排気が効率化される(冷却性能アップ)。
・スペースが広くなるため、配線しやすい。

デュアルチャンバーのデメリット
・大きくなった分、置き場所のスペースを要する。
・大きく重たいため、外部へ持ち運ぶ際はパーツをばらす場合がある

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PCケースによりスペースが異なるため、配線のしやすさに差がある(裏側と上部のスペースに注目)

裏側のケーブル接続がしやすいPCケースの特徴
・裏配線スペースが広い(奥行きがある)

※裏配線は可能でもスペースが狭い場合、ケーブルの本数がなるべく少ない構成にした方がよいでしょう。
※PCケースによってはマジックテープがついており、固定しやすくなっています。
上部のケーブル接続がしやすいPCケースの特徴
・天板(上部のカバー)と天板下のファンマウンタ(ケースファンの設置器具)が外れる
・天板からマザーボードまでのスペースが広い


※天板からマザーボードまでのスペースが狭い場合、配線が難しいです。
※CPUクーラー「簡易水冷」のラジエーターをトップ(天面)に設置した場合、さらにスペースは狭くなります。

PCケースにおける配線スペースの例

  • 表(前半分):30mmのスペース
  • 裏(後ろ半分):20mmのスペース

PCケースの清掃・・・PCケース内部はエアダスターを使用/パネルはシャワーで洗い流す

デスクトップPCケースのサイドパネルを外せば、PCケース内部を清掃できます。
PCケース内部の清掃はエアダスター(ノズルから気体を放出し、ホコリを吹き飛ばす道具)などを使って、各PCパーツに着いたホコリや、PCケース内に落ちているホコリを取り除きましょう。

参考:パソコン 掃除の極意:ポイントを押さえて安全&キレイに

エアダスターを使う際はPC電源を切り、各ファンはマスキングテープなどで固定しておきます。ファンを圧縮空気で回転させると、モーター部で通常とは逆方向の電力が発生し、故障する恐れがあります。

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ケースカバー(パネル)はシャワーで洗い流す

PCケースのパネル(特に吸気で重要な役割のフロントパネル)も、清掃が必須です。
PCケース内部へ空気を取り込む際、空気中のホコリやチリも吸い込みます。すると、パネルやラジエーターなどが目詰まりを起こします。エアフローがうまく行われないため、排熱が阻害されます。

フロントパネルの清掃・・・
フロントパネルを取り外して、シャワーでホコリ洗い流すと良いでしょう。

ラジエーター・・・
CPUにたまった熱を空気中に放熱して冷却を行う、CPUクーラー(簡易水冷)の部品。

PCケースにおける「I/Oポート(nput/Output Port)」:USB、ヘッドホン、マイクなどの差込口

PCケースごとに、ポート(端子の差し込み口)の種類・数は異なります。基本的には、電源ボタンの隣に「USB」「ヘッドホン」「マイク」のポート(端子の差し込み口)があります。

YouTube:ASUSのスタイリッシュなPCケース「Prime AP201」が初心者でも組みやすい!【レビュー】
YouTube:最新ハイエンドも柔軟に対応できるシンプルなAntec P20CE/P20C【ケース紹介】
YouTube:【自作PC】Core i5 13400FとRTX 4070Tiを搭載したイケイケPCを組んでいく!!!!【組み立て編】

PCケースに用意された「I/Oポート」の例

  • USB 3.2 Gen2 Type-C ×1
  • USB 3.2 Gen2 Type-A ×1
  • ヘッドホン ×1
  • マイク ×1

「I/Oポート」のケーブルコネクタをマザーボードの所定の位置に接続することで、「I/Oポート」が使用できます。
ただし、必ずしも「I/Oポート」の全ての端子が使用できるとは限りません。例えば「USB 3.2 Gen2 Type-C」にマザーボードが非対応の場合は、「I/Oポート」の「USB 3.2 Gen2 Type-C」は使用できません。

ケーブル(HDMI/DP/USB):ポート(端子)の性能に合うケーブル規格を選びます。ケーブルの規格によっては、グラフィックボード(GPU)やPCモニターなど各機器の性能を発揮できません。
ケーブル選びに重要な「帯域幅」「リフレッシュレート」も解説しています。

PCとPCモニターとを繋ぐケーブル「HDMI」「DisplayPort(DP)」「USB Type-C」「Thunderbolt」/帯域幅/リフレッシュレート/Wi-Fi 6E/Bluetooth

PCケース購入前に、パーツ(マザーボード/CPUクーラー/グラフィックボード/電源ユニット)が収まるか確認

PCケース購入前に、使用したいパーツが収まることを確認しましょう。
特に以下パーツのサイズに着目してください。

  • マザーボード
  • CPUクーラー(空冷/簡易水冷)
  • グラフィックボード
  • 電源ユニット

マザーボード(各パーツを取り付ける基盤):「Extended-ATX」「ATX」「Micro-ATX」「Mini-ITX」

各PCケースでマザーボードの対応規格(サイズ)は異なります。PCケースの仕様を確認しましょう。
YouTube:【PCケース交換】初心者でも簡単!ケース交換であなたのPCをもっとカッコよく!!!

マザーボードにおける規格別のサイズは、以下の通りです。多くの人は「ATX」を使用しています。
正しいサイズは、各マザーボードの公式サイトを確認してください。
参考:PCケース・マザーボード・電源の互換

規格大きさサイズ(mm)
Extended-ATX
(E-ATX)
305 × 330
ATX244 × 305
Micro-ATX244 × 244
Mini-ITX極小170 × 170
マザーボードの規格別サイズ

CPUクーラーの特徴「空冷」「簡易水冷」(どちらを使用してもOK)

CPUクーラーは、多くの人が「空冷」か「簡易水冷」かを使用します。「本格水冷」の使用者は、多くありません。
CPUクーラーの「空冷」と「簡易水冷」との冷却性能を、大まかに以下の表で比較しています。

YouTube:あなたのPC冷えていますか?エアフローについて考えよう
参考:空冷式PCと水冷式PCの違いとは
参考:【PC自作の新常識】簡易水冷型CPUクーラー結局どこに付けるのが正解なの?

CPUクーラーの種類空冷簡易水冷
CPUの冷却性能(傾向)
実際は製品でピンキリ
低~中中~高
用途低~中性能CPU高性能CPU
CPUに負荷がかかったときに、
CPUが熱くなる時間
速め
すぐにCPUが熱くなる
遅め
ゆっくりCPUが熱くなる
熱くなったCPUを、
CPUクーラーが冷ます時間
速め
すぐにCPUが冷める
遅め
ゆっくりCPUが冷める
CPUクーラー「空冷」「簡易水冷」の冷却性能傾向

CPUクーラー「空冷」:CPUの熱をファンの風で排気して冷却する

パソコンには電力が必要です。電力を使用する限り、熱は発生します。
CPUやGPUなどで発生した熱を自然に冷ますには、長い時間がかかります。さまざまなパーツが配置され、それぞれが発熱しているPCケース内部では、各パーツを冷却するための工夫が必要です。

特に発熱が激しいCPUの場合は、CPUクーラー(空冷・簡易水冷)を使用します。CPUクーラーをマザーボードに設置する際、PCケースのパネル・他パーツと干渉することがあります。CPUクーラーの公式サイトで、サイズを確認しましょう。

※グラフィックボード(GPU)の冷却装置(ラジエーター)も存在しますが、まだ一般的には普及していません。
※ラジエーター:CPUにたまった熱を空気中に放熱して、冷却を行う部品。

YouTube:【失敗】エアフローつよつよな自作PCを組んだらパーツの相性問題で痛い目を見た件
YouTube:なぜ本格水冷から空冷へ戻したのか??~ガチガチ水冷システム不具合発生~

PCケースに対応するCPUクーラー「空冷」の記載例

  • 全高160mm
  • 全高166mm
  • 全高170mm

※全高:最大高さ

CPUクーラー「空冷」の搭載ファン
CPUクーラー「空冷」に搭載されているファンの数は、1個か2個です。1個よりも2個の方が、CPUは冷えます。
搭載ファンが1個の場合、高負荷時に回転数が上がりうるさいです。
CPUクーラー「空冷」のヒートパイプ
ヒートパイプは、CPUの熱をヒートシンクに移す管のことです。径が太く本数が多いほど、冷却力が高くなる傾向にあります。
ヒートパイプとフィンとの接合に、熱伝導率が高いはんだ(金属などの接合に用いる錫(すず)を主成分とした合金)が使われているかも重要です。

CPUクーラー「簡易水冷」:CPUの熱を冷却液でラジエーター(冷却を行うパーツ)に移して冷却する

PCケースにラジエーターを設置できるスペースがあるか、仕様を確認しましょう。
CPUクーラー「簡易水冷」は、液体を使ってCPUの熱をラジエーターへ移し、ファンの風を当ててラジエーターを冷やします。
※グラフィックボードのラジエーターも存在しますが、まだ一般的には使用されることが少ないです。

参考:初心者必見!自作PCパーツの選び方【CPUクーラー編】
YouTube:中身が全く同じでもケースを変えるだけでPCが新しくなったような気分になれる「Fractal Design North」
YouTube:【LS720 WH】ケースも簡易水冷CPUクーラーも白!DeepCoolの最新パーツで白い自作PCを組んでみた【CH510 WH】
YouTube:【自作PC】いま一番安いPCケースがこれです。「ZALMAN T8」
YouTube:【自作PC】エアフロー最強ケース Thermaltake Ceres 500 TG ARGB

PCケースに対応するCPUクーラー「簡易水冷」の記載例

搭載可能ラジエーター(フロント-前面):360mm
トップとフロントとで、実際のCPU温度はさほど変わらないことが多いです。
フロントに設置したラジエーターのチューブは、下から出す方が良いと言われています。チューブを上から出すと、異音が出たり寿命が縮まったりするようです。

フロントでファンを吸気(涼しい外気を取り込む)にするのが、一般的に良いとされています。チューブは、下から出す(騒音レベルが下がると言われる)ことが多いです。
大型のグラフィックボードを取り付けることでフロントのスペースがなくなり、ラジエーターがフロントに設置できない場合もあります。

搭載可能ラジエーター(トップ-天面):240mm
背の高いメモリ(RAM)を使用する場合、トップにラジエーターを取り付けると干渉することがあります。

フロントに設置できない(ケースファンとの干渉でフロント設置が難しい、など)場合は、トップの設置でOKです。グラフィックボードなどの排熱による温かい空気をラジエーターが吸い込むことになり、冷やすにあたって多少非効率です。
ラジエーターをトップに取り付けることで、PCケースによっては「マザーボード」「メモリ」と干渉する恐れがあるため注意してください。

搭載可能ラジエーター(リア-背面):120mm
場合によっては、マザーボードの拡張スロット(拡張カードを接続するために使用するインターフェース)と干渉します。

※ラジエーターをボトム(底面)に設置は、基本的にNG
水冷ヘッドに空気が溜まり水がうまく流れず、冷却性能が下がります。

メモリ(RAM):CPUとストレージとの間でやりとりするデータやプログラムを一時的に保存する記憶装置です。

メモリとは?PCパーツのメモリ選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

最大静圧:mmH2O(millimeter of water)
閉じた空間に、ファンがどれだけ空気を押しこめるかを表します。
簡易水冷等のラジェーターにファンを搭載する際、重視される数値です。ファンによっては公開されていない場合もあります。

グラフィックボード(映像をディスプレイに出力するための画像処理特化パーツ)

グラフィックボードは、簡易水冷(ラジエーター)を使用しないことが多いです。よってエアフローによる冷却が、ますます重要です。
※ラジエーター:CPUにたまった熱を空気中に放熱して、冷却を行う部品。

参考:RTX 3090 Ti+簡易水冷=最強! 3090に20%差をつけるROGのハイエンドビデオカード
YouTube:水冷クーラーがぶっ壊れてグラボが燃えるように熱い。真っ黒自作PCがついに完成!
YouTube:【自作PC】グラボを簡易水冷化 NZXT KRAKEN Z53&G12+2080Ti

PCケースに対応するグラフィックボードの記載例

  • フロント(前面)にラジエーター搭載時:300mm
  • フロント(前面)にラジエーター非搭載時:330mm

※CPUクーラーの簡易水冷(ラジエータ―)をフロント(前面)に設置している場合、PCケースに収まるグラフィックボードのサイズ制限は小さくなります。

グラフィックボードを支えるためのホルダー
近年のグラフィックボードは高性能化に伴い、サイズが大きく重たくなっています。よってPCI-Eスロットにグラフィックボード挿した状態で、大きな負荷がかかります。
その負荷を緩和するため、PCケースによってはグラフィックボードを支えるためのホルダー(サポートステイ)が付属しています。
またグラフィックボードホルダー(サポートステイ)は、別途個別で販売されています。

PCモニター:グラフィックボード(GPU)の端子とPCモニターとの端子を、ケーブル(HDMI/DisplayPort)で繋いで使用します。クリエイター向けのPCモニターは主に「解像度」「色深度」「輝度(ダイナミックレンジ)」が一般的なPCモニターより高く設定され、「色域」を定めた造りとなっています。

クリエイター向けPCモニターおすすめ3選(主に3DCG制作)「色深度」「色域」「HDR」とは

カラーマネジメントPCモニター:プロのクリエイターが使う、正確な色調整・色再現ができるPCモニターです。キャリブレーションによって、ディスプレイの「経年劣化」と「色の個体差」をカバーします。

カラーマネジメントモニターのおすすめ2選(クリエイターのためのキャリブレーションとは)

PCスピーカー:音声ファイルの再生に使うため、映像制作に必須。パソコンにケーブルを繋ぐだけで使えるスピーカーです。PCまたはPCモニターに内蔵されたスピーカーより高音質・大音量で、安価なPCスピーカーでも作業環境を改善できます。

パソコンの音が小さい、出ない、おかしいを解決「PCスピーカー」おすすめ2選/Creative「Pebble」/Anker「Soundcore」各シリーズ比較

電源ユニット(電力を安定して供給するためのパーツ):「ATX」「SFX」

電源ユニットは下部に設置したり、上部に設置したり、PCケースにより様々です。
参考:これで全てが分かる。Fractal Design「Vector RS」徹底解説

電源ユニットの規格(サイズ)
ATX:一般的なサイズ
SFX:小さめなサイズ

PCケースに対応する電源ユニットの記載例

  • 最大160mm
  • 最大180mm
  • 最大190mm

電源ユニットを入れるスペース・・・
PCケースの底面からボトムカバー(シュラウド)までの空間。

ケースファン(PCケース内部に空気の流れを作り、外へ排出する)

ケースファンの回転数によって、騒音レベルが異なります。
回転数が多いほど、ケースファンから発生する音はうるさいです。よって純正のケースファンよりも回転数を落としたい場合、別途個別にケースファンを購入してください。

参考:PCケースのエアフローを図解、パソコンを効率良く冷やすために

PCケースに対応するケースファンの記載例

取り付け位置・・・

  • トップ(天面)
  • フロント(前面)
  • リア(後面)
  • ボトム(底面)

ケースファンのサイズ・・・

  • 120mm
  • 140mm
  • 180mm

設置できる数・・・

  • フロントファン×1
  • リアファン×1
  • ボトムファン×1

アドレサブルRGBファン:個別に色を制御できるLEDが付属したファン
YouTube:【高コスパ】光るケースファンで自作PCを冷やしまくる!!!!

ドライブベイ:PCケース内でストレージ(SSD・HDDなどの記憶装置)を設置するためのスペース

PCケース内に設置したいSSD・HDDの数にこだわりがある場合、ドライブベイの数を確認しましょう。

ドライブベイ
SSD(2.5インチ)、HDD(3.5インチ)、光学ドライブなど、PC本体に内蔵する機器を取り付けるために設けられたスペースです。
PCケースによって、2.5インチベイ、3.5インチベイの個数は異なります。

参考:PCケースのドライブベイをチェック!

ドライブベイを使い切ったら、以下の方法でHDD・SSDを追加できます。

  • USBケーブルで、外付けする
  • 5.25インチベイがある場合は、2.5インチ・3.5インチに変換するマウンタを購入して増設する
    ※近年は、5.25インチベイがないケースが多いです。

PCケース内のエアフロー(空気の流れ)によって、CPU・GPUの温度は「約5~10度」変化する

エアフローとは
エアフローは、PCケース内における空気の流れです。
PCが作動すると、CPUやGPUなど様々なPCパーツが熱を持ちます。CPU・GPUなどで発生した熱は、PCケース内の空気中に排出されます。

よってPCケース内には温かい空気が滞留している状態です。熱がこもった状態のPCケース内の冷却は非効率です。
各パーツの冷却効果を高めるためにも、意図的にエアフロー(空気の流れ)を作り風通しを良くしましょう。

手法としては、複数のケースファンで吸気(PCケース内に冷たい外気を取り込む)と排気(PCケース外に温かい空気を吐き出す)とを行います。
設置できるケースファンの大きさや数、付属するケースファンの個数・品質などは、各PCケースにより異なります。

参考:PCケースのエアフローと冷却について
YouTube:【自作PC】冷却性能全振りの極冷PCケースと噂のケースは本当に冷却は強いのか?爆熱と噂のIntel 第12世代CPUを突っ込んでみた【DF700 FLUX】【Symphony ARGB】

「エアフロー(冷却性能)」と「遮音(静音)性」とは、トレードオフ

「エアフロー(冷却性能)」と「遮音(静音)性」とは、基本的にトレードオフ(一方を得れば一方は失う)の関係です。

YouTube:人気PCケース8製品を一斉比較!【冷却性能も実測】Fractal Design Torrent TG/NZXT H510/Antec P10 FLUX/Corsair 5000D Airflowほか

「エアフロー(冷却性能)」優先のPCケース
・・・ケースカバー(パネル)に通気孔がある(=メッシュ構造)ため、エアフローが充実します。

「遮音(静音)性」優先のPCケース
・・・ケースカバー(パネル)に通気孔がないため、ファンの回転音がPCケースの外に漏れづらいです。

高性能なCPU・グラフィックボード(GPU)を使用するクリエイターの場合、エアフロー(空気循環)による冷却性能を重視したPCケース(メッシュで開放的なタイプ)がおすすめです。
一定の騒音は、受け入れるしかありません。セミファンレス・ファンレスの「グラフィックボード」「電源ユニット」は、比較的静かです。

クリエイター向けPCは、「エアフロー(冷却性能)」を優先する

クリエイターが使う高性能PC(特にCPU・GPU)の場合、基本的に「エアフロー(冷却性能)」を優先しましょう。近年は「エアフロー(冷却性能)」優先のPCケースでも、「遮音(静音)性」は高めです。
実際、以下のように「エアフロー(冷却性能)」と「遮音(静音)性」とは両立されてきました。

近年のグラフィックボード(GPU)
セミファンレス(温度によってファンの回転数が変化する)で静音化。
セミファンレスでない場合、アイドル状態でもグラフィックボードのファンが回転するためうるさく感じることがあります。
近年の電源ユニット
ファンレス(ファンがない)、セミファンレス(温度によってファンの回転数が変化する)で静音化。
ファンレス・セミファンレスでない場合、アイドル状態でも電源ユニットのファンが回転するためうるさく感じることがあります。
近年のPCケース
PCケースの前面・天面に対して、ラジエータ(CPUクーラー「簡易水冷」)の搭載を前提としたスペースを確保しています。
またメッシュ構造のパネルで、外気を取り込みやすい設計が多いです。

PCケースのパネルの材質によっても、遮音(静音)性が異なります。またパネルに吸音材を貼って静音化している場合もあります。
近年のケースファン
大型化もしくは搭載数を増加して冷却性能を保ちながらも、回転数を抑えて静音化しています。
また、マザーボードによるファンコントロールが高機能化がしています。

メッシュ型PCケース(エアフロー優先)のデメリット

クリエイターが使用するような一定以上の性能を備えたPCの場合、メッシュタイプのPCケースが推奨されます。ですが以下2点のデメリットがあります。甘んじて受け入れましょう。

高負荷時は、多少うるさい
高負荷時は、熱を冷ますために「グラフィックボード(GPU)」「電源ユニット」「ケースファン」それぞれのファンが激しく回ります。よってメッシュタイプのパネルだと、うるさく感じることもあるでしょう。
基本的には、グラフィックボード(GPU)に搭載されたファンの回転音が最もうるさいです。

HDDの駆動音は、避けられない
各PCパーツのファンは静音化されてきましたが、HDDの駆動音はPCケースの外に漏れます。ですが多くの人は、作業の邪魔になるほどうるさく感じないでしょう。
またSSDのみでPCを構成することで、静音化できます。

エアフロー(空気の流れ)の例(トップ/フロント/リア/ボトム/サイド)

エアフロー(空気の流れ)は、ケースファンによってコントロールします。
ケースファンをPCケースのどこにつけるか、また吸気・排気どちらにするかで、気流が変わります。

YouTube:コンパクトなのに組みやすい高品質ケース! INWIN A3【商品紹介】
YouTube:超絶冷やせるPCケース、、LIAN LI O11 Dynamicを買ってみた。

ケースファンが設置できる場所の例

個々のPCケースにより、ケースファンが取り付けられる位置は異なります。

  • トップ(天面)
  • フロント(前面)
  • リア(後面)
  • ボトム(底面)
  • サイド(側面)

※ポイント:フロントパネルの清掃
フロントパネルのケースファンは、通常「吸気」で使用します。つまり吸気の要となるフロントパネルは、ほこりがたまりやすいです。吸気の妨げとならないよう、フロントパネルは細目に清掃しましょう。フロントパネルにフィルターがある場合、基本的にフィルターのみの清掃でOKです。

※ポイント:ラジエーターにあてる空気は「吸気」が基本
CPUクーラー「簡易水冷」のラジエーターは、フロントに設置することが多いです。その場合ラジエーターにあてる空気は、一般的に吸気(外気取り込み)が望ましいと言われています。

※注意:大型のグラフィックボードを使用する場合の干渉
使用するグラフィックボードによっては、フロントパネルにケースファンを設置するスペースが確保できません。
購入前にPCケースの仕様を確認しましょう。

最も効果的なエアフローは、個々のPCケースで異なります。ケースファンの最適な個数も、それぞれの環境で違います。
CPU・GPU・マザーボードのチップセットなど、各パーツの温度をソフトウェアで観察しながら様々なエアフローを試します。
以下は、エアフローの例です。

吸排気吸気排気
エアフローの例1フロントトップ、リア
エアフローの例2ボトムトップ、リア
エアフローの例3フロント、ボトムトップ、リア
エアフローの例4トップ、フロントリア、ボトム
ケースファンによるエアフローの例

エアフローによって、CPU・GPUの冷え方が変わる(両方冷えたり、片方だけ冷えたり)

エアフローをどのように作るかで、CPUやGPUなどの温度が5~10度程度下がることもあります。
エアフローを変えてテストしてみると、様々な結果が得られます。CPUやGPUなどの温度を計測しつつ、自身の求める結果になるよう試行錯誤が必要です。

PCの構成次第ですが、エアフローの作り方で以下の現象が見られます。

  • CPUだけが冷える
  • GPUだけが冷える
  • CPUとGPUとの両方が冷える
  • CPUとGPUとの両方が冷えない

PCの組み方にもよりますが、基本的に「吸気はCPU有利」「排気はGPU有利」です。
ケースファンの「吸気」と「排気」とで、高負荷時に以下の傾向があります(参考程度)。

吸排気吸気排気
CPU温度下がる上がる
GPU温度上がる下がる
ケースファンの「吸気」「排気」による違い(高負荷時のCPU・GPU温度)

PCケースの冷却性能を高めるポイント(室内温度を下げる/ケースファンのサイズ・設置数/サイドパネルを外す)

PCケース内を冷却するためのポイントは、以下の3つです。
※最適な「ケースファンの個数」「エアフロー(空気循環)の作り方」は、PC環境・構成パーツにより異なります。

YouTube:【PCケースで温度変わるのん?】 ATXケースでも 構造によって冷却性能が違う!? 【自作PC】
YouTube:超絶冷やせるPCケース、、LIAN LI O11 Dynamicを買ってみた。

PCケース内に取り込む外気(室内の空気)の温度は、低いほど良い

PCケース内の温かい空気を、PCケース外(PCが置いてある室内)の冷たい空気と入れ替えることで、CPU・GPUなどの各パーツの冷却が効率的になります。

CPUやGPUなどの半導体は熱に弱いため、夏場は冷房をつけて室内温度を低く保ちましょう。PCケース内部の温度が、室内温度より低くなることはありません。
※季節によって室内温度も変わるため、夏と冬とでパーツ温度は約5度程度変わります。

エアフローが活発な方が、CPU・GPUなどのPCパーツは冷えやすい

ケースファンのサイズが大きいほど、またケースファンの設置数が多いほど、より多くの吸排気ができます。基本的には、エアフローが活発なほど冷却効果は高いです。
PCケースによっては、ケースファンのサイズ・ケースファンの設置数をセールスポイントにしています。

サイドパネルを外した状態(オープンフレーム)の方が、冷えやすい

基本的には、開放されたPCケースほど冷えます。ですが室内温度やPCの構成パーツ、エアフローなどによっては、サイドパネルを取り付けた方が効果的に冷えます。

サイドパネルを外すことのデメリットは「ほこりも多く入ること」「ファンの回転音が漏れること」です。PCケース内のほこりは、エアダスターで取り除きます。

ケースファンとは、PCケース内にエアフローを作り出すパーツのこと。サイズ・個数・回転数で冷却性能が変わり、足りない場合は買い足す。

ケースファンとは
ケースファンは、PCケースの所定の位置に取り付けます。ケースファンを利用することで、PCケース内部に空気の流れを生み出します。PCケース内の各パーツから排熱された温かい空気を、外気と交換します。

ケースファンは、多くの場合PCケースに付属しています。ですがPCケースによってはケースファンが付属していないため、買い足す必要があります。

参考:ケースファンの仕組みと取り付け

ケースファンを買い足すかどうかの判断例

買い足さなくてOK・・・
「フロント」「リア」両方に、ケースファンが付属している場合

買い足すことになる・・・
「フロント」「リア」どちらか片方にのみ、ケースファンが付属している場合。

PCケースに付属するファンが足りない場合・そもそもPCケースにファンが付属していない場合は、別途ケースファンを買い足してください。
ケースファンを選ぶ際は、大きさ、厚み、回転数、設置数、風量、騒音レベルなどを確認します。

Amazonで一番売れてるケースファンをチェック

冷却性能を高める手法「ファンの回転数を上げる」「ファンの数を増やす」「ファンを大きくする」「ボトムにファンを設置」

ケースファンで冷却性能を上げる方法は、主に以下の4つです。
基本的には、ケースファンでPCケース内部へ取り込む空気量を増やします。

  • ファンの回転数を上げる
  • ファンの数を増やす
  • ファンを大きくする
  • ボトムにファンを設置

ファンの回転数を上げる

ケースファンの回転数を上げるほど、PCケース内は冷えます。
あまりにケースファンの回転音がうるさくて作業に集中できない場合は、CPU・GPU温度を観測しながら回転数を落としましょう。

高負荷時は、ケースファンの回転数をアップさせる

PCに高負荷をかける場合、CPUやGPUなどの各パーツは最も高温となります。よって計測しているCPU・GPUなどが一定の温度に達した場合、ケースファンの回転数を上昇させましょう。
より活発な空気循環を作ることで、効率的にCPUやGPUなどを冷却します。

ケースファンの回転数の制御方式:「PWM方式」「電圧制御式(DC)」

ケースファンの回転数は、BIOS設定などから変更できます。回転数が多いほど、音はうるさくなります。
「3pin」だと回転数制御ができないため、マザーボードが4pinに対応している場合は「4pin」のファンを購入しましょう。

PWM方式【おすすめ】:半導体を使って電力を制御する方式
ケースファンのコネクタのピンが、4ピンの場合に使用します。
各パーツの温度に応じて徐々に回転数を上げていくなど、スムーズに回転数を調整できます。

電圧制御式(DC):電圧の上下でファンの回転数を制御する方式
ケースファンのコネクタのピンが、3ピンの場合に使用します。
PWM方式のような、細かい回転数の設定はできません。

参考:ケースファンの音がうるさい…と感じた時に試すべきこと
参考:ファンの回転数を制御して、静音化を実現する方法3選

ファンの数を増やす

ケースファンの数を増やすほど、PCケース内は冷えます。取り付ける場所があるか事前に確認し、Amazonなどでケースファン単体を購入しましょう。ケースファンを設置できる数は、PCケースにより異なります。

ファンの数が多いほど、回転音はうるさくなります。ですがファンの数が増えた分、低速回転でも十分な吸気が期待できます。

ファンを大きくする

大型で厚みのあるケースファンにすると、PCケース内は冷えます。取り付けできるか事前に確認し、Amazonなどでケースファン単体を購入しましょう。大きいサイズのPCケースでないと、大型のケースファンは取り付けられない場合があります。

ファンが大きいほど、回転音はうるさくなります。ですがファンが大きくなった分、低速回転でも十分な吸気が期待できます。

ボトムにファンを設置

CPU・GPUに限らず、電源ユニットやマザーボードなど、全てのパーツは冷えている方が良いです。電源ユニットは下に設置することが多いため、PCケースのボトム(底面)から外気を取り込めないか検討してみましょう。
ボトムにケースファンがあるのとないのと、どちらがより冷えるかテストしてください。

PCケースをカーペットの上に直置きすると、電源ユニットが熱を持ちやすくなります。PCケースは、デスクやフローリング、すのこの上に置くと良いでしょう。

ケースファン(PCケースに設置するファン)で、吸気・排気をコントロール

エアフロー(空気の流れ)で大事なのは、スムーズな吸気と排気です。PCケース内部に空気の通り道を作り、常に空気を循環させましょう。

YouTube:意外と重要PCのエアフローを考えてみる、最近のPCケースは見た目はいいけどエアフローが良くない気がする【自作PC】

  • 吸気:PCがある室内の空気を、PCケース内に取り込む
  • 排気:PCケース内の空気を、PCケース外に排出する

PCケース内のエアフロー(空気の流れ)は、「前→後ろ」「下→上」が基本です。よってほとんどのPCケースは、「前面吸気・背面排気」を前提としています。ですがPCの置き場所や各PCパーツの配置などを考慮すると、「前面排気・背面吸気」とした方が効果が高いこともあるでしょう。
つまり、各パーツの温度を測定しながら試行錯誤が必要です。

前面吸気・背面排気・・・
PC前面で空気を取り込み、PC背面で空気を外に出す

前面排気・背面吸気・・・
PC前面で空気を外に出し、PC背面で空気を取り込む

個々のPC環境によって最適なエアフローは異なります。またPCケースによって、ケースファンを設置する条件(場所・サイズ・個数)は異なります。
特にケースファンを多く取り付ける場合は、エアフロー(空気の流れ)を意識して、各ケースファンの吸気と排気の向き(表裏)を間違えないようにしましょう。

トップパネルのケースファンは、基本的に排気でOK
温かい空気は、下から上へ流れる性質があります。よってPCケースのトップパネルにケースファンを取り付ける場合は、排気にすれば熱を効果的に逃がせます。

「正圧(ファンの吸気力が強い状態)」と「負圧(ファンの排気力が強い状態)」との違い

エアフローには、正圧と負圧とがあります。一般論を説明してますが、個々のPC環境(PCケースの形状や各パーツの配置など)によって冷え方は異なります。

YouTube:エアフロー劇的改善で爆熱パソコンが超冷却!CORSAIR 4000D airflow&SilverStone IceGem 280 SST-IG280-ARGBでついに完成した理想のクリエイターPC
YouTube:通気性抜群のケースに世界最強のファンを付けて効果はあるのか検証してみた。 #自作PC #ケースファン #Shorts
YouTube:【再検証①】合計14000RPMを全て吸気と排気に全振りしたらCPU温度はどうなってしまうのか? #自作PC #ケースファン #Shorts

正圧とは(吸気が強い)

  • ファン構成:吸気ファン数 > 排気ファン数
    ファンの吸気力が強く、排気力が弱い構成でファンを配置します。よって強い吸気で、内部の空気圧が高い状態です。
  • 冷却性能:低い
    排気力が弱いため、各パーツの温度が比較的上がりやすい(冷えない)状態です。
  • ほこり:たまりにくい
    排気が弱いためエアフローを保持しやすく、PCケース内にほこりがたまりにくいです。

負圧とは(排気が強い)

  • ファン構成:吸気ファン数 < 排気ファン数
    ファンの吸気力が弱く、排気力が強い構成でファンを配置します。よって強い排気で、内部の空気圧が低い状態です。
  • 冷却性能:高い
    排気力が強いため、各パーツの温度が比較的上がりにくい(冷える)状態です。
  • ほこり:たまりやすい
    排気が強いため自然吸気が増えて、PCケース内にほこりがたまりやすいです。

ケースファンを選ぶ際のポイント(ファンに関する頻出用語の説明)

ケースファンを選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
参考:ケースファンは取り付け向きに注意!失敗しない選び方を学び、最強の静音エアフローを確立せよ!!

大きさ・厚み
ケースファンの大きさは120㎜角が主流。ほかにも60㎜角、80㎜角、92㎜角、140㎜角などがあります。
厚みは25㎜が一般的で、薄さ重視の20㎜、風量重視の38㎜などがあります。
大きくて厚みのあるファンほど冷却性能が高く、回転数を落としても風量があるため静かな傾向です。
回転数:rpm(rotation per minutes)
羽が1分間に何回転するかを表します。
rpmの数値が大きいほど、風量が強い(冷却性能が高い)です(音もうるさい)。
例えばCPUの性能が高くなるほど(クロックが上がるほど)、CPUクーラーに搭載されたファンの回転数は上がります。
騒音レベル:dBA(deciBel A)
デシベルエーと読みます。
人間の耳の感度を考慮した騒音の値で、数値が大きいほどうるさいです。
最大風量:CFM(Cubic Feet per Minute)
ファンが1分間に送りこむ空気の量を表します。
大きく分厚いファンほど、多くの空気を送れます(音もうるさい)。
平均故障間隔:MTBF(Mean Time Between Failure)
使用開始から、もしくは故障から回復してから、ファンが故障するまでの平均時間です。
コネクタのピンの数
ケースファンのコネクタには、3ピンと4ピンとがあります。
3ピン:電圧制御にのみ対応しています。
4ピン:PWM制御(4ピン)と電圧制御(3ピン)とに対応しています。

マザーボード・ファンコントローラーによって、PWM制御・電圧制御に対応しているか否かは変わります。
現在のマザーボードの多くは、4ピンに対応しています。
LED
ケースファンにはLEDを搭載している製品があります。
性能とは無関係ですが、LEDがきれいに光るため見た目にこだわる人は重視します。

PCケースのサイドパネルがアクリル・強化ガラスの場合、吸気孔がメッシュの場合は、ケースファンが光っているのを確認できるため見栄えが良いです。
要求電流:ImputCurrent
ケースファンが最大動作のために要求する電流で、ImputCurrentなどと表示される場合があります。
一般的なファンでは問題になることがほとんどありません。ですが、特殊なファンの使用、分岐ケーブルの利用(1つのコネクタに多くのファンを接続)時は、過電流のリスクがあります。

過電流が原因でマザーボードやファンコントローラーなどが壊れることもあるため、直接電源に接続するか、コネクタの供給電流量を調べた上で利用しましょう。

ケースカバー(パネル)の特徴次第で、PCケースは変わる

PCケースは、ケースカバー(パネル)が組み合わさったものです。ケースカバー(パネル)そのものの特徴を知ることで、PCケースの製作意図(目指した方向性)が見えてきます。

ケースカバー(パネル)のポイント「通気孔のサイズ」「着脱しやすさ」「ダストフィルター」

ケースカバー(パネル)は、以下3点に注目しましょう。

通気孔のサイズ

PCケースによって、通気孔の有無は異なります。
メッシュ状(空気が通る通気孔がある状態)のケースカバー(パネル)は、エアフロー(冷却性能)に優れるためおすすめです。
また通気孔のサイズによって、以下の違いがあります。

  • 通気孔のサイズが大・・・
    吸排気しやすい、ほこりが入りやすい、遮音性が低い(ファンの回転音などがうるさい)
  • 通気孔のサイズが小・・・
    吸排気しづらい、ほこりが入りづらい、遮音性が高い(ファンの回転音などが静か)

※ボトム(底面)のパネルから空気が取り込めると、グラフィックボード(GPU)やマザーボードの回路などを冷やしやすいでしょう。

着脱しやすさ

PCケースによって、パネルの着脱にかかる手間は異なります。
定期的に清掃が必要なフロントパネル(及びダストフィルター)が着脱しやすいと、メンテナンス性は高いと言えます。

着脱しづらいフロントパネル(及びダストフィルター)の場合、清掃が億劫になるでしょう。

ダスト(防塵)フィルター

PCケースによって、ダスト(防塵)フィルターの有無は異なります。
「マグネットタイプ」または「はめ込んで着脱できるタイプ」のダストフィルターがあります。

ダストフィルターはほこりが溜まりやすいため、定期的に取り外してシャワーなどで洗い流しましょう。

サイドパネルの特徴「アクリルパネル/強化ガラス」「ツールレス/ネジ」

個々のPCケースによって、サイドパネルの特徴が異なります。以下の表は、サイドパネルの材質に注目しています。

材質の種類アクリルパネル強化ガラス
見た目安っぽい高級感がある
価格低価格高価格
傷のつきやすさ傷がつきやすい傷がつきづらい
透明度内部のパーツが見えづらいことがある
(曇っていることがある)
内部のパーツが見える
(透明に近い)
サイドパネルの材質の違いによる特徴比較

サイドパネルの着脱方式

ツールレス(ネジ不要)で着脱できるタイプ
・着脱が素早く簡単
・PCのメンテナンスに取り掛かりやすい
・持ち運ぶ際、外れないか(開かないか)不安になる

ネジで固定するタイプ
・ネジの取り付け・取り外しが手間
・PCのメンテナンスに取り掛かりづらい
・しっかり固定されるため、安定感がある

ケースカバー(パネル)の厚さによって、特徴が異なる(多少重たくても、分厚い方が変形を防げる)

ケースカバー(パネル)の厚みによって、PCケースに違いが出ます。軽くて剛性の高い(力が加わっても変形しづらい)カバーが理想ですが、全てのPCケースが理想的ではありません。

剛性が低いと、PCケースが歪むこともあります。歪みは振動音の原因となります。よって剛性が低い(力が加わると、変形しやすい)ペラペラ感のあるケースカバー(パネル)は避けた方がよいでしょう。
多少重たくても、厚みのあるケースカバー(パネル)の方が無難です。

ケースカバー(パネル)の厚さ薄い厚い
重さ軽い重い
剛性剛性が低い
例:グラボの取り付けでへこむ場合がある
剛性が高い
耐振性振動に弱い振動に強い
遮音性(静音性)
※吸排気用の通気孔の数・大きさによっても変わる
遮音性が低い遮音性が高い
ケースカバー(パネル)の厚みによる違い

メンテナンス性・・・着脱のしやすさ
フロントパネル(前面)・トップパネル(天板)を取り外す際に、プラスドライバーを使わず手で簡単に取り外せるPCケースもあります。手間がかからないため便利です。

感触・・・好みによる
塗装によって、ケースカバー(パネル)を触ったときの感触は違います。「ツルツル」「ザラザラ」など様々です。

ケースカバー(パネル)の素材(アルミ/スチール)によって、特徴が異なる

アルミもスチールも、ケースカバー(パネル)が薄い場合は、剛性が低くなりペラペラな印象を受けます。
多少の重さを受け入れて、一定厚みのあるアルミかスチールのケースカバー(パネル)を選んだ方がよいでしょう。

参考:PCケースの材質はアルミ、スチール、アクリルのどれを選ぶべきか
参考:PCケースの選び方

素材の種類アルミ製スチール製
重さ軽め重め
剛性(加圧時の強度)変形しやすい変形しづらい
厚みの傾向薄い傾向厚い傾向
共振(ビビリ音=振動音)パソコン内のファンの動作に共振して、ビビリ音が鳴りやすいパソコン内のファンの動作に共振しにくいため、静音性が高い
価格高め安め
デザイン性(外観)デザイン性が高い傾向デザイン性が低い傾向
Amazonリンクpcケース アルミpcケース スチール
ケースカバー(パネル)の素材(アルミ/スチール)による違い

PCI-eブラケット(拡張スロットの金具部分)のタイプ:「着脱式」「取り外し式」

PCI-eブラケット(PCI-eスロットカバー)
PCケースにおいて、拡張スロットに取り付けたパーツが出てくる金具部分です。
例えばグラフィックボードを取り付ける際、PCI-eブラケット(金具)を1つ取り外します。その場所以外のPCI-eブラケット(金具)は、ほこりが入らないように残しておきます。

着脱式(ネジで固定)・・・
ネジで固定するため、再度取り付けられます。
高価格帯のPCケースに多いです。

取り外し式・・・
切り離したり折ったりして外すため、再度取り着け不可です。
低価格帯のPCケースに多いです。

クリエイター向けおすすめのPCケース(エアフロー充実で冷却性能が高い/パネルの着脱が簡単でメンテナンスしやすい)

クリエイターが使用するPCは、一定以上の性能を持ったパーツで構成されています。よって、以下のポイントをおさえたPCケースのみを紹介します。

  • エアフローが充実している
    冷却性能が高いメッシュ構造のパネルのため、遮音性が低めです。
  • メンテナンスがしやすい
    PCケースの天板やフロント部分が簡単に着脱できると、PCパーツの組み込み・メンテナンスはしやすいです。

PCケースはそれぞれに個性があり買い替えることも少ないため、仕様と購入者のレビューとを確認してからご購入ください。

YouTube:新定番ケース4製品を実機解説!冷える!使いやすい!ルックスもGood!/Fractal Design Torrent、Cooler Master HAF 500ほか
YouTube:1万円以下で冷えるPCケースはこれだ!冷却&コスパ自慢の5製品を実際に組んで比較してみた
YouTube:人気PCケース8製品を一斉比較!【冷却性能も実測】Fractal Design Torrent TG/NZXT H510/Antec P10 FLUX/Corsair 5000D Airflowほか
YouTube:高性能Mini-ITXケース対決!水冷特化のLian Li Q58W4 vs. 大型空冷対応のFractal Design Torrent Nano

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フルタワー(E-ATXマザーボード向け/拡張性が高い)

PCケース内部が広々しているため、ハイエンドな大型のPCパーツも余裕で組み込めます。

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ミドルタワー(ATXマザーボード向け/サイズ・冷却性能のバランスが良い)迷ったらこれでOK

使用者の多いATX規格のマザーボードが入る、最も人気のサイズです。

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ミニタワー(Micro-ATXマザーボード向け/コンパクトで省スペース)

配線が難しいため自作PC上級者向けですが、組み込めた時の感動は大きいです。

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