CPUクーラーとは?PCパーツ「空冷」「水冷」選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

CPUクーラーとは?PCパーツ「空冷」「水冷」選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

CPUの温度を下げる際に重要なパーツは、以下の2つです。

・CPUクーラー
CPUを冷却するためのパーツで、CPUに高負荷をかけた際のCPUの性能低下や誤作動、故障などのリスクを抑えます。
ソフト使用中もCPUの温度は80度以下をキープしましょう。

・CPUグリス
CPUとCPUクーラーとの間の目に見えない隙間を埋めて、熱伝導効率を高めます。
CPUクーラーを交換する際は、必ずCPUグリスも塗りなおしてください。

CPUクーラーには大きく分けて「空冷」と「水冷」とがあります。そして「水冷」の中には「簡易水冷」と「本格水冷」とがあります。
3DCG制作ソフトを利用する場合、初心者はCPUクーラーの「簡易水冷」を購入してください。「簡易水冷」は冷却性能とPCケースへの取り付けやすさの観点から、最もおすすめです。またCPUグリスは、多くの簡易水冷に付属しているため、基本的には購入しなくてもOKです。

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3DCG制作者向けのパソコン、CPUクーラー以外のパソコンパーツについては、以下の記事をご覧ください。

3DCG制作のおすすめデスクトップPC【初心者/中級者/上級者】(BTOパソコンメーカー9選)

CPUクーラーとは:CPUの熱を発散し、熱暴走を防ぐ

CPUクーラーは、CPUを冷却するための最も重要なパーツです。
CPUはパソコンの頭脳にあたり、半導体(温度などの条件により、電気を通したり通さなかったりする物質)でできています。
半導体は熱に弱く、CPUはPCパーツのなかでも特に発熱量が多いです。

CPU:マウス、キーボード、ハードディスク、メモリー、周辺機器などからデータを受け取り、CPUが制御・演算を行います。

CPUとは?PCパーツのCPU選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

CPUが高温の状態のままで使用すると、性能低下や誤作動、故障、寿命の短縮など、CPUのリスクに繋がります。
また高性能(動作クロックの値が高い)なCPUほど多くの電力を必要とし、発熱しやすいです。

CPUの状態別適正温度(ソフト使用中もCPUの温度は80度以下をキープする)

3DCG制作の場合、レンダリングなどの長時間高い負荷のかかる処理を行うと、CPU温度は上昇します。
IntelやAMDなどのCPUメーカーが定める動作の限界温度は、基本的に90度~100度です(最大温度はCPUの型番で調べられます)。
CPUの温度は低いほど良いですが、CPUに負荷のかかる状態でも60度~80度の範囲であれば、基本的に問題ありません。
3DCG制作ソフトを利用する場合でも、60度~80度に収めたいところです。

CPUの適正温度

40~60℃・・・アイドル時(通常時)の適正温度
60~80℃・・・高負荷時の適正温度
80~90℃・・・冷却が必要な温度
90~100℃・・・CPUの誤作動、故障リスクのある温度

CPU温度の確認方法(フリーソフトのインストール)

CPUの温度が適正かどうかを知るために、まずは現在使用しているCPUの温度を計測します。
CPUの温度を確認する場合、フリーソフトがよく利用されます。

有名なCPU温度が計測できるソフトは以下の2つです。

  • Core temp(日本語表示できるため見やすい)
  • HWMonitor(英語表示だがストレージやグラボの温度なども確認できる)

インストールして利用するまでにかかる時間は5分程度です。
BTOパソコンでも自作パソコンでも、3DCG制作ソフトなどを使用しているときのCPU温度を確認しておきましょう。

3DCG制作ソフト使用時で、大体60度~80度くらいに収まっていれば問題ありません。
CPU温度が90度以上の場合、いまPCに搭載されているCPUクーラーよりも冷却性能の高いCPUクーラーを搭載してください。

サーマルスロットリング(発熱を抑制する機能。CPUとSSDには原則搭載)

サーマルスロットリングとは
過剰な負荷により一定の温度を超過したCPUやSSDのパフォーマンスを低下させ、今以上に温度を上げないための機能です。温度上昇による故障や発火を防ぎます。
サーマルスロットリングが働いて処理能力を抑え、パフォーマンスが低下した場合、ユーザーはパソコンの動作が重くなったと感じます。

参考:CPUのサーマルスロットリングとは?
参考:【PC自作の新常識】最近のCPUは発熱が大きいって聞くけど、どうやって確認したらいい?

パソコンパーツの中で稼働率が高く、熱を持ちやすいCPUとSSDには、サーマルスロットリングという機能が原則搭載されています。
サーマルスロットリングでも熱を制御できない場合、パソコンは自動的にシャットダウンします。自動的にシャットダウンとなった場合、CPUやSSDを休ませて放熱しましょう。

ストレージ(HDD・SSD):画像や動画、テキスト、音声など様々なファイル(データ)を保存するための機器です。ストレージの種類には、PC内臓・外付け・オンラインがあります。複数の手段でバックアップしておくと良いでしょう。

SSD・HDDとは?PCパーツのストレージ選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

リテールクーラー(CPU購入時に付属するCPUクーラー)

基本的には、CPUを購入するとCPUクーラーが付属しています。CPUに付属のCPUクーラーを「リテールクーラー」と呼びます。
WebブラウジングやYouTube鑑賞などであれば、付属の「リテールクーラー」でも問題ありません。

ですが3DCG制作ソフトを利用するとCPUに高い負荷がかかるため、「リテールクーラー」ではCPU温度を60度~80度に収めることは難しいです。
Cinema 4Dなどの3DCG制作ソフトを利用する場合、CPUを長く安全に使用するためにも、CPUクーラーを別途購入することをお勧めします。

3DCG制作ソフトを利用するにあたっておすすめのPC構成は、以下の記事を参考にしてください。

デスクトップPC(BTOパソコン):パソコンを自作する(自分でPCパーツを揃えて、自分で組み立てる)のが面倒な場合は、BTOパソコンを検討してください。
ネット上で構成パーツを指定するだけで、組み上がったパソコンが自宅に届きます。自作PCでありがちな、パーツ選びのミスも起こりません。出荷前に起動テストされているため、届いたらすぐにパソコンを使用できます。

3DCG制作のおすすめデスクトップPC【初心者/中級者/上級者】(BTOパソコンメーカー9選)

各PCパーツの簡単な説明:パソコンを構成する各PCパーツ(CPU・CPUクーラー/メモリ(RAM)/グラフィックボード(GPU)/ストレージ(HDD・SSD)/電源ユニット(PSU)/PCケースなど)の簡単な説明は、以下の記事にまとめています。

PCパーツまとめ一覧(自作したい人のための各PCパーツ解説)

ノートパソコン:3DCG制作のような重たい作業も、ノートPCで可能です。自宅でも色んな場所で作業したい、出先で作業したい、と思っているならノートPC一択です。パソコンに機動性を重視しない場合は、デスクトップPCの方が割安です。

【保存版】初心者にオススメの3DCG制作用ノートPCの選び方ガイド

CPUクーラーを別途購入すべきケース4選(3DCG制作ソフト利用には必須)

3DCG制作ソフトはCPUに高い負荷がかかるため、一定性能のCPUクーラーを購入することをお勧めします。
リテールクーラーを使用せずに、CPUクーラーを単体で別途購入すべきケースは、主に以下の4つです。

  1. リテールクーラーでCPU温度が80度~90度になる場合
  2. CPUのパッケージにCPUクーラーが付属していない場合
  3. CPUをオーバークロックする場合
  4. 小型PCケースで、他のパーツに干渉する場合

①リテールクーラーでCPU温度が80度~90度になる場合

現在使用中のCPUに高い負荷をかけたとき、CPU温度が80度~90度になってしまう場合は、今よりも冷却性能の高いCPUクーラーに交換するべきです。

近年のCPUは温度が一定に達するまで、できるだけ高いクロックで動作します。そして温度がしきい値を超えると、CPUはクロックを落として動作します。つまり処理速度が落ちるため、使用中のソフトが重たくなります。

リテールクーラー個別で販売されるCPUクーラーとの特徴を以下の表で比較しています。

種類リテールクーラー(CPUに付属)個別で販売されるCPUクーラー
サイズ小さい
他パーツと干渉しづらい
PCケースに収まりやすい
大きい
他パーツと干渉しやすい
PCケースに収まりづらい
冷却性能必要最低限高い(製品によりピンキリ)
高負荷時のCPU温度高負荷時のCPU温度上昇が速いため、CPUがクロックを落として動作するのも速い高負荷時のCPU温度上昇が遅いため、CPUがクロックを落として動作するのも遅い
冷やせたぶんだけ高クロックで動作するため、CPUの温度自体はあまり下がらない

②CPUのパッケージにCPUクーラーが付属していない場合

AMDのRyzenシリーズの上位モデルやIntelのCoreシリーズの型番の末尾に「K」が付く、オーバークロック対応など高性能なモデルは、CPUクーラーが付属していません。
クロックが高い(高性能)CPUは、基本的に熱が発生しやすいため、冷却性能が高いCPUクーラーを選びましょう。

③CPUをオーバークロックする場合

オーバークロックとは、定格の周波数を上回る周波数で駆動させることです。
例えば、3.5GHzのCPUを4.0GHzで駆動させることをオーバークロックといいます。
オーバークロックをすると多くの電力を消費しCPU温度が上がりやすくなるため、CPUクーラーの冷却性能が重要です。

④小型PCケースで、他のパーツに干渉する場合

小さいPCケースを使う場合、CPUソケット周辺のスペースが狭く、リテールクーラー(CPUに付属のCPUクーラー)でも大きすぎる場合があります。
PCケースを買いなおすか、より小さいCPUクーラーが必要になります。具体的には「空冷」のトップフロー型(CPUに対して風を上から下に吹き付けるタイプ)が省スペースです。

小型のPCケース、小型のCPUクーラーの「熱」に関する注意点
PCケース
PCケースは、小型だと熱がこもりやすく、エアフロー(空気の流れ、循環)に不利です。

CPUクーラー
CPUクーラーは小さいほど冷却性能が低く、大きいほど冷却性能が高いです。

PCケース:性能には影響しませんが、PCケースによってエアフローによる冷却性能(各パーツをどれだけ冷やせるか)は異なります。

PCケースとは?PCケース選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

CPUクーラー「空冷」と「水冷」の違い

CPUクーラーには大きく分けて「空冷」と「水冷」とがあります。簡単に違いを説明すると以下のようになります。

空冷(価格帯:1千円~2万円)

価格が安い:初心者でも手を出しやすい
動作音が静か:水冷のようにポンプがなく搭載ファンの音のみ
耐久性が高い:構造がシンプルでパーツが少ない

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水冷(価格帯:3千円~10万円)

冷却力が高い:冷却用液体を大型のラジエーターで冷やせる
取り付けやすい:CPUに取り付けるヘッド部分がコンパクト
配置の柔軟性が高い:PCケース内の様々な場所に設置できる

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空冷の分類「トップフロー型:コンパクト」「サイドフロー型:CPUクーラーの王道」

空冷の分類は、大きく分けて以下の2種類です。

  • トップフロー型:コンパクト
  • サイドフロー型:CPUクーラーの王道

トップフロー型:コンパクト

ヒートシンクに風を上から当てる構造です。
ヒートシンクの大型化が難しく冷却力は低いですが、CPU周辺の電源回路やメモリ、チップセット(パーツ間でデータの橋渡しをする集積回路)、SSDなども冷やせます。

PCケース内に各パーツの熱を含んだ温かい空気が溜まりやすいため、エアフロー(空気の流れ、循環)に気を配りましょう。
価格が安い傾向にあり、リテールクーラー(CPUに付属のCPUクーラー)で採用されることが多いです。
厚みが薄くて省スペースのため、PCケースが小型な場合の選択肢として魅力的。

サイドフロー型:CPUクーラーの王道

ヒートシンクに風を横から当てる構造です。
大型のヒートシンクとなるため冷却力があり、高性能モデルで採用されます
エアフローを乱すことなくヒートシンクを冷やせるため、PCケース内全体を効率的に放熱できます。

▼注意点
サイドフロー型はヒートシンクのサイズが大きいためメモリスロットなどに干渉しやすい点に注意してください。
また高さのあるヒートシンクの場合、PCケースによってはサイドパネルが当たって閉まらない恐れがあります。

シングルタワー
・背の高い大きなヒートシンクで冷却力を高めるタイプ
・ファンは1~2個搭載
・シングルタワーでヒートシンクが分厚く、さらに搭載ファンが1つだと風抜けが悪くなる=高負荷をかける際にCPU温度の上昇を防ぎづらい

ツインタワー(デュアルタワー)
・ヒートシンクを二つのブロックに分けてシングルタワーよりも冷却力をアップ
・ファンは2個搭載
・ツインタワーはヒートシンクを分けて薄くし、さらにファンを2個使うため風抜けがよい=高負荷をかける際にCPU温度の上昇を防ぎやすい

水冷の分類「簡易水冷(一体型水冷):高い冷却力」「本格水冷:美しい見た目」

水冷の分類は、大きく分けて以下の2種類です。

  • 簡易水冷(一体型水冷):高い冷却力
  • 本格水冷:美しい見た目

水冷クーラーを購入する際の注意点(PCケース)

ラジエーターは一般的にPCケースに固定するため、PCケース側の仕様に注意が必要です。
ラジエーターのねじ穴はファンのねじ穴と共通で、PCケースに搭載可能なファンの数がラジエーターを取り付けられるかの目安となります。

例えば天板に120mmファンを2個搭載できるPCケース(120mm×2個=240mm)の場合、360mmのラジエーターは取り付けできません。
対応するラジエーターの種類がPCケースの仕様に記載されていることもあるため、水冷タイプのCPUクーラーを取り付ける場合は、PCケースの仕様を事前に確認しましょう。

簡易水冷(一体型水冷):高い冷却力

全てのパーツが一体化しているため本格水冷に比べて設置の難易度が低く、水冷のエントリーとして適しています。
クーラント液(冷却液)を使用するため、一般的に空冷よりも冷却力は高いです。
高性能のCPUを高負荷で使用する場合、IntelやAMDも簡易水冷の使用を推奨しています。

ラジエーターはPCケースの天板(上部)か前面につけるのが一般的ですが、前面の方がファンの吸気の風により冷えやすい傾向にあります。
天板(上部)にラジエーターを設置すると、GPU(グラボ)などで温められた空気が上昇してラジエーターに当たるため冷えにくいと言われます。

グラフィックボード(GPU):グラフィックボードは、画像処理に特化して計算を行うGPU(半導体チップ)を搭載しています。

グラフィックボード(GPU)とは何かを確認、クリエイター(3DCG制作)向けおすすめ紹介

グラフィックボード(GPU)の設定:グラフィックボードの設定を見直してみましょう。
-色深度(RGBそれぞれが表示できる色数)を10bitに設定
-ドライバーの更新(不具合の修正・アップデート)

グラフィックボードを買ったらやるべきこと(クリエイター向け)「色深度:10bit」「ドライバー更新」

本格水冷:美しい見た目

高い冷却力と静音性、また美しいビジュアルを兼ね備えていますが、取り付け作業が大変です。
水枕、リザーバータンク、ラジエーター、チューブ、全てのパーツが独立しているため設置場所の自由度は高いと言えます。しかし各パーツを繋ぐチューブの取り回しを自らの手で行う必要があります。
ソフトチューブとハードチューブどちらかを使用しますが、特にハードチューブは長さを調整し、熱して曲げる作業があるため、難易度は高いです。

また本格水冷を考慮していないPCケースの場合、ラジエーターの設置場所やチューブの調整が難しくなります。
まずは本格水冷に考慮したPCケースに、ソフトチューブを使った本格水冷から始めるのが良いでしょう。
自作PCで見た目にこだわる場合は、LED付きの本格水冷にハードチューブで構成する人が多いです。

「空冷」と「水冷」の特徴比較

CPUクーラー「空冷」と「水冷」との特徴を表で比較しています。

種類空冷水冷
価格安い
(価格帯:1千円~2万円)
高い
(価格帯:3千円~10万円)
冷却方法CPUの上にヒートシンク(CPUの熱を集めて空気中に発散する部品)を乗せ、ヒートパイプを通りヒートシンクに移動した熱をファン(1個~2個付属している)の風で冷ます。CPUの熱を吸収したクーラント液(冷却用の液体)が、ポンプによってチューブの中を通ってラジエーター(熱を帯びたクーラント液を冷却するための部品)まで送られ、ラジエーターに移動した熱をファンの風で冷ます。
冷却性能冷却性能は低い(下位モデルのCPU向き)
性能(クロック)が低い下位モデルのCPUは温度上昇が緩やか
下位モデルのCPUで高負荷もかけない場合は、空冷の方がコスパが良い
冷却性能は高い(上位モデルのCPU向き)
性能(クロック)が高い上位モデルのCPUは温度上昇が著しい
上位モデルのCPUで高負荷をかけるなら、IntelもAMDも水冷を推奨している
メリット・水冷に比べて安い
・多くの形状や大きさの製品があるため、選択肢が多い
・構造がシンプルで設置の手間が少ない
・故障した時の原因が、水冷よりも解明しやすい
・冷却効果が高いため、PCに長時間の負荷をかける際に有利
・CPUと設置しているヘッド部分(水枕)が小さいためソケット周りがすっきりする
・重たいラジエーター部分はPCケースに取り付けるため安定感がある
・LED付きの製品が多く見た目にこだわれる
デメリット・高性能CPUを高負荷で利用する場合は、CPUを十分に冷やせない
・CPUを冷やせず温度が上昇すると搭載ファンが高回転をしてうるさくなる
・温度が上昇しすぎるとCPUは性能(クロック)を落として処理が遅くなる
・大型モデルはヒートシンクがCPUソケット周囲のメモリなどに干渉するかもしれない
・クーラント液を使用するため、水漏れの恐れがある
・空冷よりもパーツが多くなるため高価格になりやすい
・構造が空冷よりも複雑なため設置や交換の手間がかかる
・時間がたつほどクーラント液が濁ってきて、当初よりも見た目が悪くなる
騒音比較的うるさい
水冷よりも空冷の方がCPU温度は上がりやすいため、高負荷時はファンが高回転になりうるさい傾向にある
ヒートシンクを冷やす搭載ファンの数が1個の場合、2個のときよりもファンの回転数が上がるため音はうるさくなる
比較的静音
クーラント液(冷却液)を循環させるポンプが必要なため、ファンの動作音に加えてポンプの動作音もある
ラジエーターが大きいほど冷却効率は高くなり、ファンの回転数を抑えることができて音は小さくなる
クリアランス(隙間)CPUソケット周り:
CPUの上にヒートシンクが乗るためメモリなどに干渉するかもしれない
冷却性能が高いほど、冷却パーツのヒートシンクは大きい
CPUソケット周り:
CPUに取り付けるヘッド部分がコンパクトなため余裕がある
冷却パーツのラジエーターはPCケース内のどこかに設置
冷却性能が高いほど、ラジエーターは大きい
冷却部の幅と高さヒートシンクの面積が広いほど冷却力が高い
幅と高さ:
120mm~140mm程度の正方形
(120mm~140mmファンが1つ)
ラジエーターの面積が広いほど冷却力が高い
高さ:
120mm(120mmファンが1つ)
240mm(120mmファンが2つ)
280mm(140mmファンが2つ)
360mm(120mmファンが3つ)

幅:110mm~160mm程度
冷却部の厚みヒートシンクの厚み(ファンを含む):
80mm~180mm程度
※ヒートシンクは1~2ブロック
(シングルタワーかツインタワーか)
※ファンは奥に並べるようにして1~2個搭載
ラジエーターの厚み(ファンを含む):
50mm程度
※ラジエーターは1つのため厚みに変化はない
※ファンは縦並びで1~3個搭載
対象者・性能が中程度以下のCPUを使用している人
・CPUへ負荷をあまりかけない人
・ローポリゴンな3DCG制作を行う人
中程度な性能のCPUに中程度の負荷しかかけないならば、1万円ほどのハイエンドな空冷でおおよそ問題ない
・高性能なCPUを使用している人
・CPUへ高い負荷をかける人
・ハイポリゴンな3DCG制作を行う人
・LEDで光らせたい人(選択肢が空冷より多い)
高性能なCPUに高負荷をかけるならば、1万円以上のハイエンドな水冷を購入した方が良い
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CPUクーラー「空冷」と「水冷」との違い

CPUクーラーの仕組み(CPUの冷やし方)

CPUで発生した熱は、CPUクーラーで冷やします。CPUの冷やし方は「空冷」と「水冷」とで異なります。

  • 空冷
    CPUの熱はヒートシンクに移して、搭載ファンで空気中に発散。
  • 水冷
    CPUの熱を吸ったクーラント液(冷却液)ラジエーターに移して、搭載ファンで冷まして再使用。

「空冷」と「水冷」各パーツの名称

  • ベースプレート:銅やアルミニウムで構成され、CPUの熱をバッファできるパーツ
  • ヒートパイプ:ベースプレートの熱をヒートシンクに移す管
  • ヒートシンク:冷却装置。搭載ファンの風により、熱が空気中へ発散して冷える
  • 搭載ファン:ヒートシンクを冷やすために回転して風を送る

空冷クーラーの放熱の流れ

  1. CPUの熱をCPUグリスを通してベースプレートで吸収
  2. ベースプレートの熱をヒートパイプでヒートシンクに移す
  3. ヒートシンクの熱を搭載ファンで空気中に発散

放熱の流れ「空冷」と「水冷」

以下の画像は簡易水冷(一体型水冷)のため、リザーバータンクがありません。

YouTube:【自作PC】簡易水冷の仕組み、取付方法【DEEPCOOL】

画像の引用元:ROG STRIX LC II 360 ARGB – ASUS

以下の画像は本格水冷のため、リザーバータンクがあります。

画像の引用元:CORSAIR
  • ヘッド(水枕):ウォーターブロックとも呼び、ベースプレートからの熱をクーラント液で吸収する
  • クーラント液:冷却用の液体
  • ポンプ:クーラント液を循環させる
  • ラジエーター:冷却装置。搭載ファンの風により、温まったクーラント液が冷える
  • リザーバータンク:基本的にポンプと一体化している。ラジエーターで冷えたクーラント液をためておく=クーラント液のバッファの役割

水冷クーラーの放熱の流れ(簡易水冷はリザーバータンクなし)

  1. CPUの熱をCPUグリスを通してベースプレートで吸収
  2. ベースプレートの熱をヘッド(水枕)に溜まったクーラント液で吸収
  3. ポンプにより、熱を持ったクーラント液はチューブを通ってラジエーターに移動
  4. ラジエーターを搭載ファンの風で冷やすことで、内部のクーラント液が冷える
  5. (本格のみ)ポンプにより、冷えたクーラント液はチューブを通ってリザーバータンクへ移動
  6. ポンプにより、ラジエーター(簡易)or リザーバータンク(本格)のクーラント液がチューブを通ってヘッド(水枕)へ移動

「ヒートシンク(空冷)」と「ラジエーター(水冷)」:CPUクーラーの放熱パーツ

CPUクーラーの冷却は、CPUからヒートシンク(空冷)やラジエーター(水冷)に移した熱をファンの風でどれだけ効率よく冷やせるかにかかっています。

ヒートシンク(空冷)、ラジエーター(水冷)の冷却力を高める工夫は様々ありますが、主には以下の通りです。

  • 熱伝導率が高く加工性にも優れるアルミニウムが使われることが多い
  • 空気に触れる面積を大きくするため、ヒートシンクやラジエーター自体を大型化する
  • ヒートシンクやラジエーターに凹凸をつけたり蛇腹状に加工する(「フィン」と呼ばれる構造)
  • 搭載ファンを大きくして風量を増やす(多くのファンは120mm~140mm)
  • 搭載ファンのブレードやトルクを工夫して、風量を増やす

冷却力を高めるということは、CPUの温度が上昇しにくいことを意味します。CPUの温度を低く保てれば、ファンの回転数を減らして、静音化できます。
つまり高性能なヒートシンク(空冷)やラジエーター(水冷)ほど、静音動作する傾向にあります。
基本的には、大型のCPUクーラーほど冷却力が高く、静音動作すると考えてください。

CPUクーラーの搭載ファンの回転数

自作PCのマザーボードでは、BIOSやUEFIでファンの回転数を制御できることが多いです。
ただしファンの回転数を下げすぎて、CPUの温度が80度あたりを超えないように気を付けましょう。

マザーボード:CPU・メモリ・ストレージ・グラフィックボード・電源ユニットなど、全ての部品はマザーボード(基盤)に接続されます。

マザーボードとは?PCパーツのマザーボード選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

ヒートシンク(空冷)は、大きいほど冷却性能が高い

ヒートシンクが大きい:
・冷却性能が高い。
・メモリなど他のパーツに干渉しやすい。
・高価格帯は冷却性能を高めるためヒートシンクを二つのブロックに分けて、ファンを2つ配置するサイドフローのツインタワー型が多い。
ヒートシンクが小さい:
・冷却性能が低い。
・メモリなど他のパーツに干渉しにくい。
・低価格帯はコストを抑えるためヒートシンクも小さくなりがちで、省スペースをうたったトップフローの製品やサイドフローのシングルタワー型が多い。

空冷クーラーを購入する前に以下を確認しましょう。

  • ヒートシンクがPCケースに収まるか
  • メモリスロットやVRMヒートシンクなどに干渉しないか
  • マザーボードのCPUソケットに対応しているか

PCケース:性能には影響しませんが、PCケースによってエアフローによる冷却性能(各パーツをどれだけ冷やせるか)は異なります。

PCケースとは?PCケース選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

メモリ(RAM):CPUとストレージとの間でやりとりするデータやプログラムを一時的に保存する記憶装置です。

メモリとは?PCパーツのメモリ選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

マザーボード:CPU・メモリ・ストレージ・グラフィックボード・電源ユニットなど、全ての部品はマザーボード(基盤)に接続されます。

マザーボードとは?PCパーツのマザーボード選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

VRM(Voltage Regulator Module)とは:

電源の1種で、電源ユニットから供給される電圧をCPUに適応した電圧に変換します。消費電力の高いCPUを安定して動作させるために必要です。
フェーズ数(VRMの装置数)が多いほどCPUの安定動作が望めますが、マザーボードは高額となり、消費電力も増すデメリットがあります。CPUの負荷にあわせて消費電力を制御するマザーボードもあります。
発熱が大きくなるVRMには、VRM用のヒートシンクが付いています。ヒートシンクがなくても放熱不足にならないと想定されているVRMでは、ヒートシンクは付いていません。

電源ユニット(PSU):電源ユニットは、マザーボードに接続された各PCパーツに電力を供給します。PCの安定動作に影響します。

電源ユニットとは?PCパーツの電源ユニット選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

ヒートパイプの本数と太さ(多くて太いほど冷却性能が高い)
ヒートパイプは、ヒートシンクに熱を送るための役割です。ヒートパイプの本数が多く1本1本が太いほど、ヒートシンクに効率的な熱移動ができるため、冷却性能は高くなります。
3DCG制作ソフトを利用する場合、目安としてヒートパイプが4本以上のCPUクーラーを選びましょう。高価格帯の空冷は、ヒートパイプが6本以上となる傾向にあります。

ラジエーター(水冷)は、大きいほど冷却性能が高い

ラジエーターのサイズはおよそ120mm、240mm、280mm、360mmの4種類が一般的です。ラジエーターが大きいほど、冷却性能は高くなります。人気があるのは、比較的扱いやすい240mmのモデルです。
ラジエーターの大きさは、「取り付けるファンの大きさ」と「取り付けるファンの個数」と関係しています。例えば240mmのラジエーターなら、ファンを2個(120mm×2個)取り付けます。

ラジエーターが大きい:280mm・360mm
・冷却性能が高い。
・大型のPCケースでないと、PCケース内に収まらない
・大型のPCケースでないと、マザーボードと干渉する
ラジエーターが小さい:120mm・240mm
・冷却性能が低い。
・小型のPCケースでも、PCケース内に収まる
・小型のPCケースでも、マザーボードと干渉しづらい

PCケースの仕様(PCケースに搭載可能なファンの数)に注意

ラジエーターはPCケースに固定するため、PCケースの仕様に注意してください。
ラジエーターのねじ穴はファンのねじ穴と共通のため、PCケース搭載可能なファンの数が、簡易水冷(一体型水冷)クーラーをPCケースに固定できるかどうかの目安になります。

例えば天板に120mmファンを2基搭載できるPCケースの場合、360mmのラジエーターは取り付けられません。対応するラジエーターの種類がPCケースの仕様に記載されていることもあるため、事前に確認しましょう。
ちなみにラジエーターは、PCケースの前か上に取り付けるのが一般的です。

PCケース:性能には影響しませんが、PCケースによってエアフローによる冷却性能(各パーツをどれだけ冷やせるか)は異なります。

PCケースとは?PCケース選びで失敗しない方法とおすすめを初心者向けに徹底解説

ラジエーターを設置するための隙間(クリアランス)を確保

一般的なラジエーターは厚さが25mm前後あり、ラジエーターを冷やすためのファンと合わせて約50mmになります。ファンを含むラジエーター厚みを考慮して、設置するための隙間(クリアランス)を確保しておくことが重要です。

例えばファンを含むラジエーターで約50mmの厚みがあるのに、マザーボードと天板との距離が50mm以下の場合、ラジエーター(もしくはファン)がマザーボードに干渉するため、天板には設置できません。

余裕をもって10mm以上の隙間(クリアランス)を確保したいところです。
水冷クーラーの干渉は主にPCケースが原因のため、使用するPCケースの仕様を調べておきましょう。場合によっては、PCケースを大型にしたり、オープンケースやバラック組み(PCケースを使わない状態)を検討します。

水冷のCPUクーラーを使うようなPCで構成している場合、PCモニターやPCスピーカーなどにもこだわってみてください。

PCモニター:クリエイター向けのPCモニターは主に「解像度」「色深度」「輝度(ダイナミックレンジ)」が一般的なPCモニターより高く設定され、「色域」を定めた造りとなっています。

クリエイター向けPCモニターおすすめ3選(主に3DCG制作)「色深度」「色域」「HDR」とは

カラーマネジメントPCモニター:プロのクリエイターが使う、正確な色調整・色再現ができるPCモニターです。キャリブレーションによって、ディスプレイの「経年劣化」と「色の個体差」をカバーします。

カラーマネジメントモニターのおすすめ2選(クリエイターのためのキャリブレーションとは)

ケーブル(HDMI/DP/USB):ポート(端子)の性能に合うケーブル規格を選びます。ケーブルの規格によっては、グラフィックボード(GPU)やPCモニターなど各機器の性能を発揮できません。
ケーブル選びに重要な「帯域幅」「リフレッシュレート」も解説しています。

PCとPCモニターとを繋ぐケーブル「HDMI」「DisplayPort(DP)」「USB Type-C」「Thunderbolt」/帯域幅/リフレッシュレート/Wi-Fi 6E/Bluetooth

PCスピーカー:パソコンにケーブルを繋ぐだけで使えるスピーカーです。PCまたはPCモニターに内蔵されたスピーカーより高音質・大音量で、安価なPCスピーカーでも作業環境を改善できます。

パソコンの音が小さい、出ない、おかしいを解決「PCスピーカー」おすすめ2選/Creative「Pebble」/Anker「Soundcore」各シリーズ比較

CPUクーラー選びのポイント

CPUクーラー選びのポイントは、以下の通りです。

  1. CPUソケット(IntelとAMD、どちらのCPUに対応しているCPUクーラーか確認)
  2. ファンの口径・回転数・個数(冷却性能重視:口径大きい、回転数多い、ファン複数個)
  3. ベースプレート(CPUに高負荷をかける場合はベースプレート必須)
  4. バックプレート(樹脂製より金属製の方が剛性で有利のためおすすめ)
  5. イルミネーション機能「LED(単色)」「RGB LED」「アドレサブルRGB」
  6. CPUクーラーの取り付けが簡単かどうか

①CPUソケット(IntelとAMD、どちらのCPUに対応しているCPUクーラーか確認)

CPUソケットとは
マザーボード(他の機器との接点となるインターフェース)上の、CPUを取り付ける場所がCPUソケットです。
マザーボードのCPUソケットの規格に合ったCPUしか使用できません。CPUソケットの規格によって、形状やピンの数が異なります。

参考:マザーボードのCPUソケット(Intel・AMD)

IntelのCPUソケット

・LGA1700(Intel 第12、13世代)
・LGA1200(Intel 第10、11世代)
・LGA1151(Intel 第8、9世代)※第6、7世代とは規格が異なるLGA1151
・LGA1151(Intel 第6、7世代)※第8、9世代とは規格が異なるLGA1151

AMDのCPUソケット

・Socket AM5(Ryzen)
・Socket AM4(Ryzen)

CPUクーラーは、以下の2種類あります。
・Intel、AMDのCPUソケット形状、どちらにも対応している製品
・Intel、AMDのCPUソケット形状、どちらかにしか対応しない製品

使いたいCPUクーラーがマザーボードのCPUソケットに対応していれば、取り付けられます。
高価なCPUクーラーであれば、IntelとAMD両方のCPUソケットに対応していることが多いです。ただし付属の固定具が増えるため、コストダウンのためにIntelかAMDのどちらか片方のCPUソケットにしか対応していないCPUクーラーもあります。

②ファンの口径・回転数・個数(冷却性能重視:口径大きい、回転数多い、ファン複数個)

口径・回転数・個数以外にも、CPUクーラーによって以下の点が異なります。各メーカーは冷却力や静音性、見た目を向上させるために努力しています。

  • ファンのブレード
  • 軸受けのベアリング(ファンの軸をなめらかに回転させる部品)
  • デザインや配色

ファンの口径

ファンの口径が大きい
・風量が高い
・冷却性能が高い
・低い回転数でもCPUを冷やせる
・大きなPCケースが必要

ファンの口径が小さい
・風量が低い
・冷却性能が低い
・低い回転数ではCPUを冷やせない
・小さなPCケースに設置可能

ファンの回転数

ファンの回転数が多い
・冷却性能が高い
・音がうるさい

ファンの回転数が少ない
・冷却性能が低い
・音が静か

ファンの個数

ファンが2個以上
・冷却性能が高い
・ハイエンドモデルで採用

ファンが1個のみ
・冷却性能が低い
・ローエンドモデルで採用

③ベースプレート(CPUに高負荷をかける場合はベースプレート必須)

空冷も水冷も、CPUの熱は最初にベースプレート(銅やアルミニウムで構成)で吸収します。グリスとベースプレートによって、CPUからCPUクーラーへの伝熱性が向上しています。
ダイレクトタッチ(ベースプレートなし=ヒートパイプがCPUに直接触れる)のCPUクーラーもありますが、伝熱性が下がるためCPUは熱を持ちやすくなります。
3DCG制作ソフトを利用する場合は、ベースプレートのあるCPUクーラーを選びましょう。ハイエンドなCPUクーラーの場合、基本的にベースプレートはついています。

ベースプレートが基本的に必要なケースは、以下の通りです。

  • CPUをオーバークロックする場合
  • CPUに高負荷をかける場合

WebブラウジングなどPCを日常使いする程度であれば、ダイレクトタッチ式のCPUクーラーでも問題ありません。ベースプレートがない分、安い製品が多いです。

④バックプレート(樹脂製より金属製の方が剛性で有利のためおすすめ)

CPUクーラーに付属しているバックプレートは、CPUクーラーを固定する土台(リテンション)を取り付けるための補強です。土台(リテンション)がしっかりしていないと、CPUとCPUクーラーのベースプレートは密着しません。その土台(リテンション)を支えるバックプレートは、重要なパーツです。
CPUとCPUクーラーの密着が甘いと、CPUの熱がCPUクーラーに適切に伝わらず、うまく放熱できません。温度の上がったCPUは安全のためにクロックを落とすため(サーマルスロットリング)、CPU本来の性能が発揮されません。

バックプレートは、Intel・AMDの両方に対応しているのか、Intel・AMDの片方にのみ対応しているのか、CPUクーラーごとに異なります。
マザーボードのCPUソケットによって穴の位置が異なるため、購入するCPUクーラーは、Intel用のCPUソケットに合うのか、AMD用のCPUソケットに合うのか、事前に確認しておきます。
サードパーティ製のCPUクーラーは、メーカーによって土台(リテンション)の設計が異なるため、マニュアルを読みながら設置しましょう。

バックプレートの種類(樹脂製、金属製)

バックプレートには樹脂製金属製とがありますが、基本的には金属製がおすすめです。

樹脂製のバックプレート:曲がりやすく、組み立て時にねじを締め過ぎると破損する恐れがあります。
金属製のバックプレート:剛性があり、組み立て時にねじでしっかり締めることができます(締めすぎ注意)。

⑤イルミネーション機能「LED(単色)」「RGB LED」「アドレサブルRGB」

自作でPCを組む場合は、見た目にこだわる人もいます。PCパーツをなるべくLED搭載のものにして、発行パターンをカスタマイズすることでPC全体がきれいに光ります。
CPUクーラーの場合、LED搭載を前提とするならば水冷の方が種類が豊富でおすすめです。昨今のゲーミングPCブームに合わせ、水冷ほどではありませんが、空冷にもLED搭載モデルが存在します。
LEDが搭載された水冷クーラーの多くは、ラジエーターに搭載されたファンや水枕が光るようになっており、付属のコントローラやマザーボードのユーティリティで制御できます。

  • LED(単色):見栄え(下)
    単色で光る(例:ファンのLEDが青の場合、青以外の色に変更できない)
  • RGB LED:見栄え(中)
    全体が同色に光る(例:ファン3つが同時に青、赤、緑に変わる、個別の色変更はできない)
    接続は「4pin 12V」
  • アドレサブルRGB:見栄え(上)
    全体がそれぞれ別の色で光る(例:ファン3つのそれぞれが青、赤、緑に光り色が変わる)
    接続は「3pin 5V」

複雑に光らせたい場合は、アドレサブルRGB対応のCPUクーラーを購入しましょう。アドレサブルRGBの場合、LED1個単位で色変更できるため、グラデーションに光らせることが可能です。
マザーボードによって「LED(単色)」「RGB LED」「アドレサブルRGB」に対応できるかどうか異なるため、マザーボードの仕様を確認する必要があります。

⑥CPUクーラーの取り付けが簡単かどうか

CPUクーラーを取り付ける際はPCケースからマザーボードを取り外したり、バックプレートを組み立てたり、意外と面倒です。一度設置すれば問題ないですが、取り付けの手間を考慮する場合は、購入前にCPUクーラーの仕様やレビューを確認しましょう。
CPUクーラーの設置は、基本的には以下のような手順となります。

  1. マザーボードを裏返して、バックプレートをあてがう
  2. ねじがねじ穴を通り、傾いていないか確認する
  3. バックプレートをあてがったままマザーボードを表にする
  4. 土台(リテンション)の柱となるパーツでバックプレートを固定
  5. 柱にプレートを取り付け、ナットで固定する
  6. プラスドライバーでプレートを固定
  7. ※CPUにCPUグリスを塗る
  8. 土台(リテンション)のねじ穴に合わせつつ、CPUにヒートシンク(空冷)や水枕(水冷)をのせる
  9. ヒートシンク(空冷)や水枕(水冷)を土台(リテンション)にねじ留めする(傾かないよう交互か同時にねじを締める)
  10. ラジエーター(水冷)をPCケースの天板や前面などに取り付ける

※CPUクーラー交換時の注意点(CPUグリスは塗りなおす)

CPUクーラーをマザーボードから外して付け直す際、またはCPUクーラーを交換する際は、必ずCPUグリスを拭き取って新しく塗りなおしてください。CPUグリスを使いまわすと、CPUグリスの油分が揮発して硬くなり、熱伝導効率が下がります。
CPUグリスを拭き取る際は表面にほこりが残らないよう、不織布のクリーナーで拭くのがお勧めです。アルコール等をあわせて使うときれいに取れます。
一般的には、CPUクーラーを交換するときにのみCPUグリスを塗りなおします。ですがPCを毎日長時間使用する場合は、2~3年ごとにグリスを塗り替えることを検討しましょう。

おすすめのCPUクーラー「空冷」「水冷」

3DCG制作ソフトを利用する際におすすめのCPUクーラーを紹介します。
購入すべき製品の目安は以下の通りです。

YouTube:簡易水冷CPUクーラー最強決定戦!【10製品の冷却性能と動作音を一斉比較】最新CPUをしっかり冷やすのはどれだ?
YouTube:空冷CPUクーラー14製品一斉比較結果を公開します。Alder Lakeを冷す空冷とは? DeepCool ASSASSINⅢ/AS500、サイズ KOTETSU MarkⅡ Rev.B他

ローポリゴンでの作業が主:
空冷「ミドルクラス」以上、水冷「ロークラス」以上

ハイポリゴンでの作業が主:
空冷「ハイクラス」以上、水冷「ミドルクラス」以上

紹介するにあたっての重視した評価指標は、以下の通りです。

  • 冷却性(高負荷時にCPUの温度上昇を抑えられるか)
  • 静音性(高負荷時にファンの回転数が上がっても静かか)
  • コスパ(価格に見合った性能か)

一定の負荷に耐えうる、ミドルレンジ~ハイエンドモデルの中でも特に利用者が多く、高評価の製品を主にリストアップしています。
リンク先で仕様とレビューを確認してから購入してください。
またCPUクーラーは消耗品のため徐々に性能は落ちていきます。おおよそ3~5年程度で交換を考えると良いでしょう。

Amazonで一番売れてる空冷をチェック

Amazonで一番売れてる水冷をチェック

空冷-トップフロー型

各クラスでおすすめの「空冷-トップフロー型」CPUクーラーを紹介します。
PCケースが小型の場合は、サイドフロー型より省スペースなトップフロー型がおすすめです。

ロークラス(3千円~4千円)

ミドルクラス(5千円~6千円)

ミドルハイクラス(7千円~8千円)

ハイクラス(1万円以上)

空冷-サイドフロー型

各クラスでおすすめの「空冷-サイドフロー型」CPUクーラーを紹介します。
トップフロー型よりもサイドフロー型の方が主流であり、冷却面でも優れます。

YouTube:【2022年版】空冷クーラー17製品一斉比較!検証結果公開します!冷える&買いはCPUクーラーは?【レビュー】

ロークラス(3千円~4千円)

ミドルクラス(5千円~6千円)

ミドルハイクラス(7千円~8千円)

ハイクラス(1万円以上)

▼冷却重視

▼コスパ重視

水冷-簡易水冷(一体型水冷)

簡易水冷は空冷よりも冷却力が高く、また設置も簡単なため、CPUクーラーの中で最もおすすめです。CPUメーカーのIntelやAMDも、ハイエンドなCPUには簡易水冷を推奨しています。

YouTube:【下剋上】DeepCoolの新型水冷 LS720がヤバい… 360mmの新定番になれるか?性能計測&組み立て方解説!【簡易水冷】

ロークラス(1万円以上)

ミドルクラス(1.5万円以上)

ミドルハイクラス(2万円以上)

ハイクラス(2.5万円以上)

水冷-本格水冷

本格水冷ではソフトチューブかハードチューブかを選択します。初めての本格水冷の場合、ソフトチューブが簡単でおすすめです。ハードチューブは難易度は高いですが、仕上がりの見た目は美しいです。

YouTube:CORSAIR Hydro X – PC の水冷をカスタマイズする方法のチュートリアル

水冷キット(水冷クーラーのパーツ一式セット)

本格水冷 キット CORSAIR>自作PCコンポーネント>カスタムクーリング-Hydro X-

ソフトチューブ(クーラント液の経路となる)

水冷 ソフトチューブ

ハードチューブ(クーラント液の経路となる)

水冷 ハードチューブ

シリコンチューブ(ハードチューブを曲げる際に、ハードチューブに入れて経路つぶれを防ぐ)

水冷 シリコンチューブ

フィッティング(各装置とチューブを連結、経路に角度をつける、チューブの延長・分岐など)

ソフト、ハードどちらもチューブの太さ(口径)は多数あります。口径にあったフィッティングでないと連結できないため、口径にあったフィッティングを使用してください。
ソフトチューブ用:内径(ID)と外径(OD)の両方のサイズが合うものを選ぶ
ハードチューブ用:外径(OD)のみサイズが合うものを選ぶ

フィッティング 本格水冷

パイプカッター(チューブを握ってカッター側をクルクル回して切断する)

パイプカッター

リーマー(チューブのバリ・面取り用)

パイプリーマー

耐水ペーパー(紙やすり:切断面を平らにする)

耐水ペーパー

ヒートガン(ハードチューブを曲げる際にチューブを温めるために利用)

ヒートガン

ベンディングツール(パイプベンダーアタッチメント:特定の角度にハードチューブを曲げる際に使用)

曲げキット

洗浄瓶(リザーバータンクにクーラント液を注水するときに利用)

洗浄瓶

クーラント液(冷却液)

クーラント液 CPUクーラー

ラジエーター(チューブを介してクーラント液で運んだ熱を冷ます装置)

水冷 ラジエーター

CPU用水枕(ウォーターブロック:CPUから熱を吸収する)

CPU ウォーターブロック

リザーバータンク(ラジエーターで冷えたクーラント液を水枕に渡す前に貯めておく場所、バッファの役割)

水冷 リザーバータンク 水冷 ポンプ一体型リザーバータンク

ポンプ(水冷ヘッド(水枕)とラジエーターの間でクーラント液を循環させる)

水冷 CPU ポンプ

流量計(インジケータ―):クーラント液の流量を計測する

流量計 水冷

水温計:クーラント液の温度を計測する

水温計 水冷

CPUグリスの効果「CPUからCPUクーラーへの熱移動を効率的にする」

CPUにCPUクーラーのベースプレートを接着させる際、CPUグリスが必須です。必須と言っても、CPUやCPUクーラーに付属していることが多いため、基本的にCPUグリスは購入しなくてよいです。

CPUを購入・・・リテールクーラーのベースプレートにCPUグリスが塗布されている
CPUクーラーを単品で購入・・・ベースプレートにCPUグリスが塗布されている

全ての製品にCPUグリスがあらかじめ塗布されているわけではないので、購入前にCPUクーラーの仕様を確認しましょう。

CPUクーラーのベースプレートにあらかじめ塗布されているCPUグリスでも、機能的には問題ありません。ですが冷却性能にこだわるなら、評価が高い人気のCPUグリスを購入して使用しましょう。あまりにも価格が安いCPUグリスは、CPU温度が高くなる傾向にあります。

CPUグリスとは:CPUの熱をCPUクーラーへ効率的に伝える役割

CPUグリスは、CPUからCPUクーラーへの熱移動を助けます。CPUとCPUクーラーのベースプレートとの表面は平らに見えますが、実際は目に見えない窪みがあります。完全な平坦ではない凸凹同士を密着させた場合、目に見えない隙間が生まれます。

そのわずかな隙間に熱伝導率の低い空気が入り込むと、CPUクーラーへの熱移動が疎外されます。つまりCPUグリスの役割は、CPUとCPUクーラーとの間の目に見えない隙間を埋めて、熱伝導効率を高めることです。

CPUグリスのおかげで、CPUの熱をCPUクーラーのベースプレートがしっかり吸収し、CPUは本来の性能を発揮できるようになります。

CPUグリスを塗る際は、薄くのばす

CPUグリスは空気よりも熱伝導率が高いですが、アルミや銅ほど高くありません。よってCPUにCPUグリスを塗る際は、薄くのばすことを意識しましょう。CPUグリスを厚く塗ると、熱伝導に不利です。

おすすめのCPUグリス4選

CPUに高負荷をかける場合は、冷却力の高いCPUグリスを購入してください。CPUグリスの塗りなおしは面倒なため、3DCG制作で重たい作業も行うなら、CPUクーラーと一緒に購入しておきましょう。
また現在CPUの放熱に悩んでいる場合、CPUグリスを塗りなおすだけでCPU温度が下がれば非常にコスパが良いため、CPUグリスの交換を一度お試しください。

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結論、以下4つどのCPUグリスを使っても、CPU温度の結果はほとんど同じです。値段や好みで選んでください。

YouTube:5秒でわかるCPUグリスの選び方講座【自作PC】

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